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まだまだパンダと走りたい理由

最近、パンダにルーフラックとサイクルキャリアを備えた。20年の付き合いにして初めてだ。

「実はこの前、不注意で車の右前部分をポールにぶつけたんです。板金修理をすると10万円くらいかかるんですが、このままでも走る分には支障がない。そのとき『10万円かけてマイナスからゼロに戻すんじゃなく、10万円でプラスのことができないかな?』と思ったんです」。

「FIAT」のステッカーは自作。ルーフラックは純正品ではないがパンダの車体によく馴染んでいる。


10万円かけて凹みを直さなくても、これまで通り走れる。だったらその10万円でもっと楽しいことをしよう。そういう考えた。

ここ数年自転車にも興味があり、もともとキャリアを付けてみたいと思っていた。「これだけやってまだ5万円分ですけどね」。

ルーフキャリアを取り付けると、サイクルキャリアを付けるスペースがなくなったのだが、ホームセンターで部材を買って加工し、見事に両方を取り付けた。


そういえばバイクにはもう戻らないのだろうか。

「このパンダと生活するイメージはたくさん沸くけれど、バイクのあるライフスタイルが、自分の中で今は思い浮かべられない。どういう使い方、付き合い方をすればいいのか、どんな生活になるのか。そのライフスタイルが描けるようになれば、また乗るかもしれないけれど」。

それは今までパンダ以外の車を選ばなかった理由でもあるという。

「パンダは、ほかと競うわけでもなく、自分なりのカーライフを受け止めてくれるというか。今の自分の身の丈に程良く合っているんです」。

最近、神奈川県と東京都の二拠点生活を始めた木村さん。「片道100kmの移動を週に何度かしてますが、楽しくて全然苦じゃないです」。


「10年後にはエンジン駆動のMT車なんてもう乗れなくなっているかもしれない。なくなる前に乗っておきたい。そんな人の初めての選択にパンダは悪くないと思います。とりあえず、乗ってみたら?たぶん新しい世界が開けますよ」。

古い付き合いのパンダに、20年経ってもまだまだ惚れ込んでいるようだ。



鳥居健次郎=写真 籠島康弘=取材・文

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