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農作業は選手とスタッフがトレーニング後に行う。可能な限り選手全員が工程に携われるように、作業は持ち回り制で分担されているが、農業部部長を務める樋口選手は、できるだけすべての作業に参加している。
「最初はどうしたらいいかわからず、恐る恐る作業をしていたんですが、農家さんが優しく教えてくれるので、段々と自信をもって作業ができるようになってきています」
「福島ユナイテッドFCのお米」(2kg、1620円)。農業部の公式オンラインショップには、生産者のストーリーも載っている
いま農業部で取り扱っている農作物は桃やアスパラガス、米など、全部で6品種。その中でも夏の暑い時期に旬を迎える桃は、もっとも作業がハードな農作物だという。
「甘みが強くておいしい、あかつきという品種を栽培しています。実がなってから傷んでいくのが早いので、半日がかりで行う収穫作業はかなりの戦いですよ(笑)。
おいしい状態のまま届けられるように、効率を意識しながら、箱詰めや発送作業までを自分たちで行っています」
夏に桃の収穫を行う選手たち

今年の売上目標は1000万円

農業部で栽培、収穫された野菜や果物は福島県産の農作物や加工品を出店する「ふくしマルシェ」と農業部のオンラインショップで販売されている。
ふくしマルシェでは、アウェイの試合会場や提携クラブである湘南ベルマーレのスタジアムなどで出店を行ってきた。
その売上は、1度の開催で20~40万円ほど。新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年には、農業部の活動で年に約700万円の売上があったという。これは、ファンクラブ会費による収入と同額程度に及ぶ。
2019年7月、ザスパクサツ群馬のホームスタジアムで開催された「ふくしマルシェ」。相手チームのファンも農産物を購入してくれる
クラブの資金を確保する新たなビジネスとしての基盤が作られているが、これは活動開始当初からの狙いでもあった。竹鼻はこう明かす。
「サッカークラブはホームタウンが決まっているので、拠点のある地域の人口がそのままクラブの規模になる。J1の観客動員数は人口の1%と言われていて、J2やJ3はもっと低い。なので、チケットやグッズ収入はある程度限界が見えていました。そこで、社会貢献活動に取り組みながら、新しいビジネスにしていくことも意識していました」
現在はコロナ禍によりふくしマルシェでの出店は制限されているが、その分オンラインショップの売上で補完することができていると阿部は言う。
「オンラインショップでの売上は好調な状態が続いています。今年は農業部全体で1000万円を売上目標にしていますが、そうするとチケット収入にも並ぶ数字になる。当初考えていた通り、新しいビジネスとしての軸ができてきています」
出店やオンラインショップでの販売が実績よく続いてきたのは、農作物自体の品質がいいことなどもあるが、明確なターゲット設定によるところが大きな要因のひとつだ。


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