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一緒に15年前にタイムスリップしてみよう

編集部 2006年に開業した表参道ヒルズは、どんなコンセプトで始まったんですか?
荒川 最も大切にしていたのは「文化商業施設」ではなく「文化商“住”施設」であることです。関東大震災後、復興計画の一環として建設された同潤会アパートがもとにありますから、そこが担っていた“住”の機能は残したい。アパートの織りなす風景は人々の心の情景でもありました。つまり、表参道の歴史そのものなんです。
表参道ヒルズのコンセプトを示すべく、開業前に作られた資料には、しっかりと「文化商住施設」とある。安藤忠雄先生のスケッチと、荒川さんの手作り資料である。
編集部 手元の資料にも、しっかり書かれていますね。そして荒川さんのお手元にある、当時のテナント向けのパンフレットはおよそ商業施設のそれとは思えません。まるで住宅のパンフレットのよう。
表参道ヒルズの下にはまだ“完成予定”とある。
荒川 文化商“住”施設であることを強調したかったからですからね。
編集部 ターゲットにはO・TO・NAとあります。オーシャンズもまさに「大人」に向けて創刊しました。

荒川 O・TO・NAとアルファベットにしたのは、実年齢ではなく“生き方年齢”として考えていたからです。オーシャンズさんがコピーにされている“37.5歳”も近い感覚かもしれません。
編集部 37.5歳は、あくまで精神的なマインド年齢をイメージしていました。「大人」である一方で「少年性」も忘れていない、それを37.5という数字で表しましたけど、そこには20代も40代もいるイメージです。
オーシャンズが“37.5歳”を謳った特集の数々。
“37.5歳”を謳った特集の数々。
荒川 まったくそのとおりです。15年前、開業に向けてさまざまな方のお話を伺いました。ビームス代表取締役・設楽 洋さまや編集者・石川次郎さまには、実年齢とは違う若々しさがあった。それが“少年性”とでも言うんでしょうか。それこそまさに「マインド年齢」だと思います。
編集部 そして満を持して開業。なんですが、表参道ヒルズの誕生は……失礼を承知で言えば……いや、言うのやめます。
荒川 なんですか? どうぞご遠慮なく(笑)。
編集部 いや、えっと、実は、オープンすらも“大人”しかったような……すみません!ごめんなさい!
荒川 あー、それなら良かった(笑)。
編集部 へ?
荒川 我々が最も言われてうれしいのは、今のような言葉です。「表参道ヒルズって、ずっと前からあったような感じだね。」と思われていたら最高です。
編集部 え?
荒川 先ほども言いましたが、表参道ヒルズはいかに街に調和できるかを大切にしてきました。歴史的な趣のある場所にドーン!と華やかな場所が誕生したと思ったら、いつの間にか盛り下がる。そんなのは望んでいませんから。なんなら、開店セールすらやりませんでしたよ。
編集部 なるほど! でも、ビジネスとしてはとても勇気のいる決断。よく会社がそんなことを許してくれましたね(笑)。


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