リモートワークとランニングは相性がいい
もう少し詳しく聞いてみよう。
「ワーケーションなどを実践して多拠点生活を送っている方であれば同意していただけると思うのですが、移動を伴う生活を送っているとテンションが上がりっぱなしになるんですよね。
新しい出会いや発見があって、他者との交流の時間が増える。好奇心が刺激され、気分がアガります。行動量も、アルコールの量も増えてしまいます」。
躁鬱でいえば躁の時間ばかり、ということだ。佐別当さんもエキサイティングな毎日を送りつつ、何だか疲れてしまうことを自覚していた。
そこで、自分と向き合う時間を作ることで、メンタルをニュートラルに持って行くのだ。
「そのことに気がついてからは、ひと月のうち10~15日は自宅で過ごすようにしています。リズムを整えるためのランニングも、同じような理由でスタートさせました」。
大崎にある自宅で過ごす朝は、まだ商店街が活気づく前の戸越銀座を抜けて、文庫の森公園を周回するのが定番のコース。ADDressで過ごすときも、リズムを整える目的で無理のないランニングを楽しんでいる。
それぞれの場所でお気に入りのランニングコースが増えはじめているそうだ。
「地元の人たちにランニングコースを紹介していただくこともあります。はじめましての地域をエンジョイするためのランニングですね。走ることはフットワーク軽くできるからいいですよね」。
そんなこんなで、ランニング歴は軽~く10年以上になる佐別当さん。最後に続けるためのコツを教えてもらおう。
「とにかく、今の自分にとっては30分という時間がちょうどいい。これくらいの時間なら作りやすいし、負荷というか、運動量も適切です。これが1回1時間は走らなきゃとなると、準備のための着替えやシャワーも入れると1時間半はかかってしまいます。
そうすると、なかなか時間を確保しにくいじゃないですか。そうではなくて、30分しかないならそれに合わせて20分ほど走って、10分で身支度をする。
“ねばならぬ”と考えるのでなく、まずはできる範囲で気軽に取り組むと、生活の中にランニングが根づくと思います」。
リモートワークが当たり前になって、通勤という仕事スイッチの時間がなくなり、どうにもシャンとしない……。
そんな人ほど、新しい生活様式の中でリズムを整えるために走り始めてはいかがだろうか。
ランニングは、その動作自体が一定のリズムを刻むアクティビティなのだから。
RUNNER’S FILE 35 氏名:佐別当隆志 年齢:43歳(1977年生まれ) 仕事:株式会社ADDress代表 走る頻度:週2〜3日、30分5km程度 記録:ハーフマラソン約2時間、フルマラソン約5時間半 |
連載「Running Up-Date」一覧へ 「Running Up-Date」ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。
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