当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。医師から病名を告げられると、これから自身がどうなってしまうのか不安に陥りがちなものです。しかし「この『不安』が新たな不調を引き起こしてしまう」と『
精神科医が教える病気を治す 感情コントロール術』の著者である精神科医の樺沢紫苑氏は語ります。
人間は大事なことを感情で決めてしまうところがあり、とくに病気に関することについては、誤った選択肢を取ってしまいがちなのだそうです。感情を上手にコントロールして、病気を治すことにつなげる方法を樺沢氏が解説します。
不安にあおられず冷静に判断する方法
病名を告知されると、さまざまな不安が頭をよぎります。しかしながら、その不安のほとんどは「予期不安」です。
予期不安とは、「会社に復帰できなくなったらどうしよう?」「後遺症が残ったらどうしよう?」「薬で重い副作用が出たらどうしよう?」といった、将来に対する過剰な不安で、その9割以上は実際には起こらない、現実にならないものです。
実際に起こらないことに対して、あれこれ考え、不安な気持ちになり、落ち込んでしまう。完全に取り越し苦労です。実際に起こってから悩むようにするだけで、人間の不安の9割はなくなります。
ではなぜ、人は「予期不安」に悩まされるのでしょう。その原因は、「情報不足」です。「この薬、吐き気の副作用が出やすいって聞いたけど、そうなったらどうしよう?」という不安。
しかし、「副作用として吐き気が出る確率は10パーセント、激しい吐き気はその中で3人に1人。それに出たとしても命に別状はない」というデータが添えられていたらどうでしょう。つらい症状は30人に1人も出ないとわかれば「それほど多くないし、万が一なっても大丈夫だな」と思えるのではないでしょうか。
たとえば、最近メディアを騒がせている、新型コロナワクチン問題。副作用があるということで、ワクチンを打つことを躊躇している人も少なくないようですが、実際に起きている副作用の割合が25万から35万分の1と言われていること、症状が人によってさまざまで軽い症状の方もいらっしゃることについてきちんと知っている方は、ほとんどいないでしょう。
2/3