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新人にではなく、マネジメントに問題がないか振り返る

人は、自分を正当化しがちな存在です。
採用したばかりの新人が仕事や職場に馴染めずにいれば、それを新人本人の問題と思ってしまうことも多いでしょう。
実際、すぐに「あいつは採用ミスだ」と言うような心ない上司たちを何人も見てきました。
もちろん、新人個人に原因があることもあります。しかし先に述べたように、五月病やリアリティショックは多くの人が陥ってしまう現象であり、多くは仕事環境、つまり上司やマネジメントに問題があることは明らかです。
もし自分の職場の新人が五月病的な症状になっていたら、マネジメントに不適切なところがないかを真っ先に疑うべきです。
 

「できない人を活かし、できる人に変えていく」のがマネジメント

もっと言うと、万が一、新人個人に大きな原因があったとしても、それを「採用ミス」だと言って対処を放棄する人は、上司失格だと私は思います。
「できる人をマネジメントする」ことは誰だって簡単にできます。マネジャーとは「できない人(に現状なってしまっている人)をなんとか活かして、できる人に変えていく」ことではないでしょうか。
それを「採用ミス」だと大声で主張するのは「私にはマネジメント能力はありません」と宣言しているようなものです。
この少子化時代、すなわち人手不足時代は、育成力勝負の時代とも言えます。
五月病に陥った新人を救い出す力は、上司の皆さんには必須の能力なのです。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ
「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
 
石井あかね=イラスト


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