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なぜ「五月病」が起こるのか

このように、やっとの思いで採用した新人が潰れたり、早期退職したりと、甚大な問題を起こす「五月病」ですが、なぜ起こるのでしょうか。
大きな原因のひとつと考えられているのは、リアリティショック(入社前に抱いていたイメージと現実とのギャップ)です。
2019年のパーソル総研の「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」では8割近くの新入社員がリアリティショックを感じているとのことです。
同調査によれば、最もギャップを感じるのは、給与や昇進スピードなどの「待遇面」ですが、その次がやりがいや達成感などの「仕事面」、そして上司の能力への失望や関係性など「上司との関係面」でした。
 

「上司」が問題であることも多い

待遇は会社のルールなので、コントロールしにくいところです。しかし、仕事のやりがいや達成感などは、上司が新人に対して、仕事の価値や意義、ゴール設定などをきちんと意味づけができていれば解決できることです。
同じ仕事をしていても、意味づけによってモチベーションは大きく変わります。
仕事で能力を見せつけて「うちの上司はすごい」とリスペクトを獲得できてなかったり、部下と人間関係を作れていなかったりする、いわゆる上司に対するリアリティショックは、言うまでもなく上司が解決すべき問題です。
要は「五月病」は上司が原因の可能性も大きいということです。
 

「自分がつらいのは、上司のあなたのせいなんですよ!」

それなのに当の上司が、自分が原因であることに全然気がつかずに、落ち込んでいたり無気力になっていたりする新人に対して、「どうした? 大丈夫? それ、五月病なんじゃない?」などと軽口をたたけば、相手は「あなたが原因なんだけどな……」と心の中では思っているかもしれません。
もちろん、人間関係が築けていない上司に、新人がストレートにそんなフィードバックをしてくれるはずがありません。
苦笑いしながら「そ、そうですか……」ぐらいの力無い返事ぐらいが関の山でしょう。
「この人には何を言ってもダメだ」と思われてしまうと、その先はサポートしたくても相手は心を閉ざすばかりです。


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