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■中身はゴルフⅡじゃないカブリオ

1983年に登場したゴルフIIだが、実は中身がゴルフIのまま併売されていたモデルもあった。それがゴルフカブリオだ。
オープン化は、ビートル時代からフォルクスワーゲン車のカスタマイズを行っていたカルマン社が担当。ちなみにベースであるゴルフIのハッチバックは、プロダクトデザイン界の巨匠ジウジアーロがデザインした。
そもそもゴルフIIは、大成功したゴルフIを受けて「ゴルフからゴルフへ」というキャッチコピーとともに登場した。
そのためⅡの見た目はゴルフIに寄せてデザインされたので、ゴルフIIの中に屋根のないゴルフIが紛れ込んでいても、すぐに見分けが付かないのは不思議ではない。
当時、世界最大級の風洞実験室を持っていたフォルクスワーゲン。このカブリオでも実験が繰り返されたのだろう、当時の車としては走行時の風の巻き込みがとても少なく、オープンカーとしても優秀だ。
ゴルフカブリオは、もともとゴルフIの末期である1980年に加えられたオープンカー。1983年にハッチバックがゴルフIIになっても、そのまま販売され続け、ゴルフII末期には「クラシックライン」という特別仕様車も販売された。
写真はそのクラシックラインである。ゴルフIと顔は似ているけれど(見比べないと分からないけれど)こっちのほうが少しシャープでシュッとしている。
こちらの399.8万円というプライスタグが掲げられていた個体、ワンオーナーで走行距離2.5万kmという、衝撃のスペックだ。
さすがに経年劣化による痛みがあちこちに見られたため、ボディは当時の純正カラーでキレイに再塗装され、革シートは貼り替えられている。
ゴルフカブリオの中古車は本革シート車が多いそう。折り畳んだ幌がボディ後端に残るところが、ボディに全部格納される今どきのオープンカーと違って味わいがある。
399.8万円もあれば、自動運転レベル2相当の機能を備える現行型(間もなく生産終了)のハッチバックも十分狙えるが、全長が4mを切るゴルフIのオープンカーなんて、この先乗れるチャンスはそうはないだろう。
王道“じゃないほう”のゴルフのカントリーとカブリオ、本格的な電動車時代を迎える前に、乗るなら今じゃない?
 
籠島康弘=文


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