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2021.06.08

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「ミッドセンチュリーモダンが好き」ハワイでデザインインテリアを再生する男の手仕事

当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら

ハワイを拠点にミッドセンチュリー家具の修復師として活躍するジョン・レイノさん。インダストリアルアートの技術とミニマリストデザインへの情熱をかけ合わせ、捨てられた家具に新たな命を吹き込む彼が修復師になったきっかけとは。

カイルアの海辺にあるジョン・レイノさんの家には、ミッドセンチュリーの美学が息づいている。

溶接工、デザイナー、コレクターの顔を持つレイノさん。リビングルームに集められた家具は、捨てられた家具を拾って修復したものだ。しかもただの家具ではない。
チャールズ&レイ・イームズのラウンジチェア、エーロ・サーリネンのチューリップテーブル、ハルトムート・ローマイヤ(Hartmut Lohmeyer)が手掛けたウィルクハーン社のソファなど、伝説的なデザイナー家具を選りすぐり、絶妙に組み合わせているのだ。
ガラス製の引き戸の向こうに見える裏庭では、レイノさんの最新作、錆び付いたウォルター・ラムの長椅子が木の下に置かれていた。「この時代のデザインに夢中なんです」とレイノさん。
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「すべてが非常に洗練されていて、使い捨てとはまったく違います。じっくり見てみれば、細部の細部までこだわっていることがよくわかりますよ」。
家具を集め、修復することへのレイノさんの情熱は、どうやら子供時代まで遡ることができそうだ。「僕の家はとても貧乏で、6人の子供たちでふたつの寝室を使っていました。いつも窮屈でしたね」と51歳になったレイノさんは振り返る。
「母に連れられて廃品回収に出かけました。食料を買うためでしたが、母は僕らにやる気を出させるために、見つけたものの一部を持ち帰らせてくれました。僕は芝刈り機、自転車なんかを持ち帰り、分解してはまた組み立てたりしました」。
高校で工作実習を履修していた際に、金属で修繕する鋳かけを始めた。高校卒業後すぐ、双子の兄と一緒にカリフォルニア州のコスタメサで溶接工房を開業。23年間、兄弟揃って毎日遅くまで働き続けたが、レイノさんは人生に変化が必要だと思った。
「ふたりとも燃え尽きちゃったんです。どこか暖かくてトロピカルな場所に移りたかった。しかも安全な場所に。そこで思いついたのがハワイ。だって一応アメリカ国内だから」。こうして2007年に兄弟は工房を引き払い、レイノさんはオアフに引っ越した。大工として腕を振るい、廃屋を再生する仕事を始めた。


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