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理想郷の墜落と衰退

テイラーキャンプ時代の末期になると、1973年に『サーファー』誌に記事が載ったことで、一時的に訪れて砂浜に寝そべったり波を追いかけたりするサーファーたちによって、キャンパーの基盤は蹂躙された。サーファーたちは一体感に寄与することはなく、ただごみを残して立ち去って行った。
永住キャンパーの間では「大地へ帰る」という夢を共有されていたにもかかわらず、数年前のサマー・オブ・ラブ活動と同じく、このキャンプも堕落と衰退の温床になっていったのだ。皮肉な話である。さらに、この土地は地元住民が家族で農業を営み、祖先の伝統に則って持続的な形で利用してきた場所だった。キャンプは、そんな地元住民の生活を乱したのだ。
テイラーキャンプの話は美しく多面的だ。輝かしい一方で、ブラックタール・ヘロインのように暗い部分もある。ここでは、自由気ままに生きることで、人類最高の表現技法である創造性が得られた。その半面、自由本来の要素が弱まると、人は一体感や共感の喜びよりも人工的な高揚状態に浸るようになった。

多くの人にとってキャンプは夢のような場所だったが、ひどい悪夢だと感じる人もいた。普通の生活における責任から解放されたことで、麻薬中毒者がドラッグに溺れる余地を生んでしまったのだ。キャンプに常駐した管理人は、悪影響を与える住民を数年かけて少しずつ追い出していったが、その過程で心的犠牲も伴った。


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