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2021.05.23

ライフ

カウアイ島のテイラーキャンプ。半世紀前、幻のユートピアはあの女優の兄から始まった

当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら

50年前、ある男性が妻子とともにオアフ島沿岸を出帆して、カウアイ島北岸の砂浜に上陸した。名前はハワード・テイラーさん。上陸時には、所有物をすべて売却して家族全員でカウアイ島に移住すると断言した。
ハワードさんはロンドン出身で、映画スターのエリザベス・テイラーの実兄にあたる。古典『千夜一夜物語』の船乗りシンドバッドを彷彿とさせる容貌で、カウアイ島の海辺や崖を探索していたときは、あの船乗りと同じように驚いていたに違いない。
彼は、道の終着地点で7エーカー(約2万8000平方メートル)の用地を購入すると、モダニズムの夢をかなえるべく家を建てる計画を立てた。ところが、計画が完成しても建築許可が下りなかった。彼はその不満から、家族とともに数台の車でワイルア郡刑務所へ向かい、放浪罪によりカリフォルニア州バークレーから移送されていたヒッピー13人を保釈する。

ハワードさんは、この道の終着地点に自分の土地があるので、そこに住んで好きなことをして構わないと告げた。この13人が立ち上げたのが、のちに「テイラーキャンプ」と呼ばれた場所だった。


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