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そのとき、男女2人組が入店。千里さんが「わあ、竹林さん! お久しぶりです」と喜んでいる。浅草と横浜に店舗を展開するカジュアル着物店、「カレンスタイル(Caren-style)」の社長とスタッフだという。
こちらも赤ワインで乾杯。
カレンスタイル横浜店は桜木町のコレットマーレにあり、千里さんの着物ライフを支えるお店なのだ。オリジナルのデニム着物など、先鋭的な商品も販売している。
中央と右端が千里さんも持っているというデニム着物。
社長が言う。
「この人、ヤバいんですよ。どんな着物にも絶対負けない。キレッキレな感じで普通は着れないよなっていうのもさらっと着こなしちゃう」。
そんな千里さんは、もともと飲み歩くという習慣がなかった。しかし、4年ほど前に友人に誘われて野毛を訪れたのをきっかけに、自称「ただの飲んだくれ」になる。ワインは苦手だったが、この店で本当の美味しさを知った。
美味しいワインと生ハムに丁寧な接客。ふと窓の外を見ると、水面に揺れるネオン。
最高のシチュエーションだ。
花見のシーズンは遊覧船も賑わう。
満開の時期は花見ワインを洒落込める。
千里さんは客を見送る際に「ありがとうございました。良い夜をお過ごしください」と声を掛ける。
「この街は『行ってらっしゃい』と言うケースが多いんですが、お帰りになる方もいらっしゃるでしょう。どうしようかなと考えた末、これに定着しました」。
では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
ワインの概念を変えてくれる1杯が見つかるかもしれません。
 
【取材協力】
VaLe 横浜野毛
住所:神奈川県横浜市中区宮川町1丁目1
電話番号:045-231-5250
www.instagram.com/vale_noge/
「看板娘という名の愉悦」Vol.147
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
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石原たきび=取材・文


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