ヘルシーな生活は、お洒落な服と肩を並べる価値がある
「2011年に、当時担当していた『グリーンレーベルリラクシング』で、スポーツイベントに協賛しようという企画が持ち上がりました。
アパレルメーカーも服を作ったり、仕入れたりして販売するだけでなく、“生活を彩る”という意味でのファッション全般に関わるべきだな、という話になったんです」。
その企画は「RUN&BIKE」というイベントとして形になった。このイベントをきっかけに、自身も試しに走ってみた。
「ライフスタイルやカルチャーとしてのランニングが、アメリカの西海岸をはじめ、世界中で同時多発的に盛り上がり始めていた頃です。もともと、バランスのいい生活をしたいというのが頭のどこかにあったんですよね」。
ヘルシーなコト、モノの価値が相対的に高まったと言うべきだろうか。ファッション畑にいる人間として、服だけでなくその周辺にも目を向けるべき、というわけだ。
「もとを正せば、東日本大震災だったり、9.11やリーマンショックといった社会的にインパクトのある出来事を経て、本質的な豊かさに興味を向ける人がどんどん増えてきたと思います。
自分自身、単に着飾ることよりもそういった方向性が肌に合っていました。カルチャー全般に興味があって、服はそのうちのひとつなので。
そこにランニングが加わってきて、すっぽりハマった感じです。健康でいることって、お洒落だよねっていう」。
Tシャツと短パン、手持ちのスニーカーで出来るという手軽さもよかった。
「ほかのスポーツと比べて圧倒的にシンプルですよね。とりあえずシューズさえ用意すればいい。十年前はまだまだ子育てに手が掛かったこともあり、短時間で気分転換できるという点も打ってつけでした。
当時の自分が置かれていた状況にも親和性が高かったんです。走りながら自分の体と対話することで、生活の潤いになりますし」。
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