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警官へ向けられた市民の反感

アメリカ北西部では長年にわたり、この日は労働者の権利を求めて大衆が抗議活動を行う日とされている。ところが、この年に批判の目が向けられたのは警察の残虐行為だった。彼は、警察への反感と軍国的な反応にショックを受けた。

管轄区域の状況にも慣れて地域に馴染んでいくうちに、ベルビューには4カ所のスケートパークがあることがわかった。活発なスケートボードの様子を目にしたハナウミさんは、胸が躍った。幼い頃はスケートボードに打ち込んでいたからだ。
10歳のときに、天才集団ボーンズ・ブリゲード(トニー・ホーク、スティーブ・キャバレロ、マイク・マクギル)が主演したスケートボード映画の名作『The Search for Animal Chin(アニマル・チンを探して)』を見て、心を奪われたのがきっかけだった。
映画の舞台がオアフ島ニウバレーのスケートスポット「ワロウズ」だったこともあり、自分も登場人物であるかのように感じていた。だが、その後勉学や仕事にかける時間が増えるにつれ、いつしかスケートボードからも離れていったのである。
ハナウミさんが慣れ親しんだコンクリートとメゾナイト(※訳注・硬質繊維板の一種)製ランプの世界に戻ることを決めたのは、2015年のことだった。スケートボードをやめてから20年近く経っていたものの、4カ所のスケートパークの評判を聞いて、戻りたい気持ちが増していったのだ。
注目を集めたくなかったので、まずは混雑しない夕方にベルビュー・インドア・スケートパークへ行くことにした。仕事帰りに訪れると、幸いにもそこにいたのは仕事中の従業員と6歳の子供だけだった。2人は、少し戸惑いながら制服姿の警察官を迎え入れた。
警察なんて、普段はイベントやキャンプでしか見かけなかったからだ。自分も混ざっていいかとハナウミさんが尋ねると、2人の戸惑いは懐疑心に変わった。相手に何も経験がないと思い込んだ従業員のアカシュ・リシさんは、彼に必要な用具を手渡すと、スケートボードの基本姿勢を教え始めた。
「ビスの上に足を乗せて立つ。膝を曲げて、姿勢は低く保つんだ」。
ハナウミさんは斜面でのドロップインをたやすく成功させた。


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