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『リングフィットアドベンチャー』は任天堂のフィットネスゲームだ。
古川さんは言われたとおり、任天堂スイッチとゲームソフトを購入した。だが当然、プレーをする時間はなく、箱を開けずに棚に突っ込んでいた。
「軽い気持ちでプレーしてみました。プレーをしたら、面白いように体重が落ちていきました。せっかくだから食事にも気を使うことにしました」。
今までネックだった運動は『リングフィットアドベンチャー』でこなすことができた。
また緊急事態宣言であったため、会食などができなくなり外で食事をする機会も激減した。早寝早起き、運動、適度な食事、と健康的な生活を送ることができた。
「20キロほど痩せたときに、視聴者のみなさんに『痩せてる!!』って言われたんですね。で嬉しくなって、このまま痩せ続けたらどうなるかな?と思いました」。
ダイエット当初は企画ではなかったが、そこからは企画にしていった。22キロ減、32キロ減、42キロ減で、痩せていくたびに動画を出した。
(筆者撮影)
今回のインタビュー当日は、古川さんが48キロのダイエットを終えた直後だった。
「楽しく痩せられました。目標の体重になった日に、美容院の予約をして髪の毛をオレンジにして、コンタクトを入れました。そして自分が着たい服を買い着ました」。
テレビなどで見ていた姿と、まったく違っていたのでビックリしてしまった。古川さんはダイエットを経て、気づきがあったという。

「これからは好きなことを仕事に」

「今までは『売れるには』『仕事につなげるには』を前に立てて行動をしていました。それで成功した面もありますし、仲良くなった人もいます。だから後悔はしていないのですが、ただ前職をやめるときに考えた『これからは好きなことを仕事にしよう』というのは叶えていなかったな、と思いました」。
古川さんはイベントをしていても、動画を作っていても『みんなが何を見たいか?』『みんなが何をしたいか?』を考えるクセがついていた。
「多少自分が損をしても、みんながやりやすくなるならそれでいい」という自己犠牲をしても、全体を回すというやり方をやってきた。
「自分にはそのやり方が向いていると思っていたのですが、ただ『それがしたいのか?』というと違いました」。
そもそもイメージチェンジをしたいという気持ちはあった。だが、そうすると絶対に「前のほうがよかった」という人があらわれる。
今までは、ほかの人の期待に答えられないのが嫌だから、イメージチェンジはできなかった。
「僕の中では、周囲に気を遣って生きてきたつもりだったのですが、今思えばわがままな面が出ることも多かった。だから、周りからは好き勝手に生きているように見えていたと思っています。気を遣っているつもりなのは自分ばかりなうえに、自分の人生をちゃんと歩けていなかったんです。ダイエットは本当にやりたいからやった企画でした。それでパラダイムシフトのように大きく考え方が変わりました。
『これからは自分のしたいことをしよう』という気持ちになりました」。
イラストレーター、ライターなどのクリエーティブなフリーランスは、会社員から「好きなことで食べていけていいね」などと言われることが多々ある。だが、多くのクリエイターは「好きなことだけでは食ってはいけてないよ!!」と反論するだろう。
中には、仕事を続けるうちに絵を描くことや、文章を書くことが嫌いになってしまう人もいる。しかしそんな人でもそもそもは「好きなことを仕事にしたい」と思っていたはずだ。
『これからは自分のしたいことをしよう』と決めた古川さんが、今後どのような仕事をされるのか、楽しみに待ちたいと思う。
 
村田 らむ:ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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記事提供:東洋経済ONLINE

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