許さんが生まれ育ったハルビンは北海道とほぼ同じ緯度だ。
「中国の東北料理が美味しいですね。寒いので冬だと鍋、煮込み系が多いです。ゲンコツを煮込んだりとか。あと、『氷祭り』が有名です」。
ハルビンの街並み。
「世界三大雪祭り」といわれる「ハルビン氷祭り」。許さんは15歳で東京に来て、中学校に転入。日本語が全然わからなかったが、クラスの子たちが「あいうえお」から教えてくれたという。
「みんなやさしい人ばっかり。授業中も先生が何喋ってるのか全然わからないので、教科書のどこを見ていいのかもさっぱりで。でも、先生がちょくちょく来てくれて『今、ここやってますよ』って」。
高校時代はマクドナルドでアルバイト、バイト代はプリクラに。やがて大学に進学、上野のバーでアルバイトを始めた。それを機に飲食業の世界に入る。
「タピオカブームを見て北千住と浅草橋でタピオカ屋を経営していたんです。北海道牛乳黒糖タピオカが人気ナンバーワンでした。でも、ブームは一瞬で終わりましたね」。
たどり着いたのが「大好き」なザリガニ。共同オーナーと昨年8月、この店をオープンした。
スタッフからも愛されている。「やさしい」「友達みたい」「性格いい」「いい人だからいいことしか言えない」「お客さんのファンが多い」。
中国の業者に作ってもらった「ザリガニちゃんグッズ」。インタビュー中に「中国のお茶飲みますか?」と言われた。
これがキリッとした美味しい紅茶でした。中国食材の専門スーパーは高田馬場、新宿、大久保などにあるとのこと。
なるほど、高田馬場駅前店。5月下旬には2階も増床してお店を展開する。そのタイミングで北海道の阿寒湖の養殖ザリガニも予約制で出すという。絶品のザリガニ、また食べに来ます。
2階の完成予想図。では、読者へのメッセージをお願いしますね。
「もっと多くの方にザリガニのおいしさを伝えたいです」。 【取材協力】蝦道住所:東京都新宿区西早稲田3-21-2 安達ビルB1電話番号:03-5272-6080https://xiadao.owst.jp「看板娘という名の愉悦」Vol.145好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
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石原たきび=取材・文