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プロのフリーサーファーがもたらす多様性という恵み


また、プロという存在はコンペティターだけに限らないのもサーフィンの魅力である。
それはフリーサーファーという存在。若くして将来を嘱望されながら戦いの場から身を引いたデーン・レイノルズ、アートの才能を発揮するタイラー・ウォーレン、多彩なデザインのサーフボードを華麗に操るクレイグ・アンダーソンーー玄人受けする彼らは賞金もなければ大企業からのサポートも得られにくい。それでもブランドを興したり絵を描きながら思うがままに活動している。
DIY的な趣向はストリートスケーターのようだが、スケートボードは都会の暮らしと相性がいい。海をベースにしながら同様に暮らしていけるのは、ひとえに彼らを支える理解者が多いため。サーフィンが広く認知され、生活の一部にしている人が多いためである。
「プロのフリーサーファーたちが何をもたらしてくれるか。そのひとつがサーフボードの多様性です。
例えば僕の選手としての現役時代では、一般のサーファーはプロサーファーが使用するサーフボードを欲しがりました。それが最先端のデザインだったためです。でも今、サーファーが生む最先端のデザインには、選手によるものとフリーサーファーによるものがあります。
選手は勝てるデザインを求め、フリーサーファーはもっと波に楽しく乗れるデザインを欲しがる。音楽に例えるなら、ビルボードでチャートインを目指すか、ジャズの世界で熟成した音作りを目指すかといった違い。
僕は日本チャンピオンに2度なっていますけれど、60歳になった今では、現代のトップシーンで当たり前のように繰り出されるエアリアルはできません。となったとき、必要なのは勝つためのサーフボードではない。そして勝つためのものではないサーフボードにも、今は上質なものが揃っているんです」。
F1マシンのような操作性に優れたサーフボードだけではなく、市場には、フィッシュ、ボンザー、ミッドレングス、ロングボードなどと呼ばれる多彩なデザインが揃う。1本のサーフボードだけでは堪能できない。それがサーフィンの奥深さなのだと、プロのフリーサーファーたちは教えてくれている。


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