手ぶらはラク。異議は出ないだろうが、本当の意味でその利点を理解するには、そうではない場合の不便を考えると早そうだ。
「トイレに行って手を洗うときや、駅で切符を買うとき。手持ちタイプのバッグだと、いちいち置かなければいけないのがすごく煩わしい」。
実体験を語るのは、絵本の制作なども手掛ける現代美術作家の加賀美健さん。今では入手が難しいゾーバッグのメッセンジャーバッグを愛用し、それがトレードマークの人物だ。
「僕は自宅とアトリエがマンションの同じ階で、職場に7歩で着く。それでも、原画を持って向かうときは、必ずメッセンジャーを使います。例えばドアの鍵を開ける、コンビニに寄って原画をコピーする、その“ふとした瞬間”に手ぶらなだけで、結構イライラがなくなりますよ」。
ふとした作業がストレスにならない、これもワンマイルバッグには不可欠のようである。日常で不満を感じることなんて、ないに越したことないはずだから。
※バッグのサイズは編集部調べ芹澤信次=写真 来田拓也、星 光彦=スタイリング 亀田 雅=ヘアメイク 加瀬友重、今野 壘=文