王道のミリタリーウォッチにして、普遍的カジュアルウォッチ。ハミルトンの「カーキ」を簡単に表現するなら、そのあたりに落ち着くだろうか。
二度の大戦で米国軍に正式採用された“ハックウォッチ”は、名前のとおりカーキカラーの武骨な顔立ちで……。
と、ちょっと待っていただきたい。
実は、この歴史的傑作には現在、カラバリを含めて100種類以上のモデルが存在し、あらゆるカジュアルスタイルに対応するマルチプレーヤーでもあるのだ。
今回はその中から有力3モデルをピックアップ。すべてのカジュアル派に捧げたい、カーキの幅広い魅力を見ていこう。
アメカジ好きを満たす“モノ語り”
▶︎カーキ パイロット パイオニア メカベージュのチノパン、真っ白なTシャツにスニーカー。そして、長い年月をともに歩んできたかのような程よく色落ちしたGジャン。
まずはオーセンティックなアイテムを組み合わせた、直球のアメカジスタイルを例にとろう。
そこに迎えたのは、1970年代のミリタリーウォッチを再現した「カーキ パイロット パイオニア メカ」。
幅33mmと小振りながら、ラグと一体化したSSケースが確かな存在感を発揮するパイロットウォッチだ。要所にヴィンテージテイストを感じさせるルックスは、言わずもがなアメカジと抜群の相性。
例えばブラックダイヤルの表面はあえて粗くマットに仕上げることで、独特のざらっとした表情に。グレーのNATOベルトが持つナチュラルな着け心地と質感は、着込むほどに味わいを増すデニムのようにヘビーユースを促すだろう。
適度に力が抜けたルックスと、実用的な使い勝手の良さを備える。ある意味、アメカジの真骨頂とも言える魅力を持つ時計だが、驚くことに出自はアメリカにあらず。北米から北大西洋を挟んだ向こう側、英国空軍用の官給時計である「W10」をルーツとするのだ。
1940年代に米国軍のサプライヤーとなったハミルトンは、その後の’60~70年代にかけて英国軍にも時計を納入していた。
この「カーキ パイロット パイオニア メカ」はオリジナルにアップデートをかけ、80時間のパワーリザーブを誇る手巻きの最新キャリバー「H-50」を搭載する。
一方で、ボックス型にぷっくりと膨らんだ強化ミネラルクリスタル製の風防や、針とインデックスに塗られたベージュカラーの蓄光塗料など古き佳き“レトロ顔”は健在。
外見は大きく変えず、機能性に特化して進化。この取捨選択のバランスも、本質を知る大人の時計に相応しい。
時計が持つストーリー、それを反映するディテール。“モノ語り”に惹かれるアメカジフリークであれば、米軍ならぬ“英国軍モノのカーキ”も、ハズせないキラーチューンとして押さえておいて頂きたい。
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