かつてストリートファッションの世界を中心に、爆発的なヒットを飛ばしたブラックPVD加工のカスタムウォッチがある。
そのブームの仕掛け人が、ロンドンのカスタムウォッチメーカー「バンフォード ウォッチ デパートメント」である。
ファッション、ライフスタイルの分野で培った独自の感性から生まれる黒いカスタムウォッチは圧倒的な支持を獲得し、今ではLVMHグループも公認するなど活躍の場を広げている。
このバンフォードとタグ・ホイヤーのコラボ第1弾は2018年。その第2弾として3年ぶりに登場したのが「タグ・ホイヤー アクアレーサー バンフォード リミテッドエディション」。
バンフォードの十八番であるオールブラックのスタイリングを封印し、オレンジをアクセントに配したダイバーズウォッチだ。
黒じゃないからこそ得られたもの
特徴的なオレンジの配色、スポーティなベゼルは、1979~1994年頃の数世代前のタグ・ホイヤーを彷彿させる。
2004年にデビューした「アクアレーサー」のルーツに繋がるヘリテージなデザインを、モダンに再解釈したセンスはさすが。
かつてバンフォードが、数々の名作にブラックのPVD加工で付加価値を与えたように、今回のコラボレーションの要となるのが、時計の全面を覆うグレード2チタンの存在だ。
軽量で弾力性があるチタンは耐久性に優れているため、ダイバーズウィッチには打ってつけの素材で、グレーがかった素材の色味を活かすサンブラスト加工を施すことで、ほかにはない雰囲気に仕上げている。
続いて、6時位置にバンフォードのロゴが入る、洗練されたブラックダイヤルに目を向けたい。
オレンジを採用した針、ベゼル、フランジの周りのダッシュ、秒針のきめ細やかな仕様は、文字盤に特別な存在感を与えている。
防水性と同様、ダイバーズウォッチの命である視認性も抜かりはない。
ホワイトのスーパールミノバを塗布したオレンジラッカーをあしらったブラックゴールドプレートの針とインデックスは、あらゆるコンディションで容易に時刻を読み取ることができる。
バンフォードによる“黒じゃない”カスタムタウォッチは、タグ・ホイヤーの歴史もバンフォードの価値も知る大人の腕でこそ、その輝きを放つはずだ。
[問い合わせ]LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー03-5635-7054戸叶庸之=文