まったく違う“手伝う”と“代わる”の差
車が代わりに運転してくれるから、その間は何をしていようと構わない。助手席や後席に座った人と同じことができる。一方、レベル2ではドライバーが通常の運転のように前方を注視していないと、アラートが出てシステムがキャンセルされる。
レベル2までは運転の責任がドライバーで、レベル3以上は“車”になる。“手伝ってくれる”と“代わりに運転”とでは、ステージがまったく違うのだ。
当然、それを実現するための技術(例えば2重3重の安全性を担保するシステムなど)は、文字どおり世界初の技術ってこと。このレジェンド、実は驚くほどハイテクなのである。
レベル3の技術「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」を搭載したレジェンドの本体車両価格は、1100万円。手放しはできないけれどレベル2相当の自動運転技術を搭載したレジェンドが約725万円だから、ザッと400万円近くもする機能と言える。
振り返ってみれば1987年に国産車ではじめてエアバッグを搭載したのはホンダのレジェンドだ。今では軽自動車にも普通に標準装備されている。
また、現在の衝突被害軽減ブレーキにつながる技術、世界ではじめて「追突軽減ブレーキ機能」(当時は法整備が間に合わず、完全停止はできなかった)はホンダのインスパイアに搭載された。衝突被害軽減ブレーキもまた、今や当たり前の機能になっている。
自らを「カメ」というホンダの着実な歩みが、また車の新たな扉を開けた。これから時間とともにゆっくり世の中に浸透していくであろうこの「凄み」を一足先に知ってしまった読者のみなさんは、どうぞウサギのようにこの未来の“レジェンド”に飛び乗ってみてほしい。
「Mobilityレボリューション」とは……コロナ禍による新生活様式。「2030年までに新規発売の車をすべて電動に」という政府発表。2021年は移動手段に革命が起こる年かもしれない。ひとりで、複数人で、街乗りで、遊びで。さまざまなジャンルや場所で登場している“新たな選択肢”を紹介しよう。
上に戻る 籠島康弘=文