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「327」のヒットが背中を押した

こちらは昨年登場し、すでに完売した「327」。
「カスタマーの関心を十分に引き寄せたタイミングで、次なる一歩として踏み出したのが“過去を現代にシフトする”というアイデアでした。背中を押したのは『327』の成功です」(小澤さん)。
「327」はファッションブランドのカサブランカとのコラボレーション・モデルとしてデビューした。カサブランカはシャラフ・タジェルが2019年に立ち上げたパリの新進気鋭。ニューカマーながら、いまやパリコレでもっとも注目を集めるデザイナーのひとりだ。
デザインのベースとなったのは「320」(ニューバランスがランニングシューズとして認知された一足)、「355」(トレイルランニングシューズの元祖)、「スーパーコンプ」(レーシングシューズの元祖)の3つ。いずれも70年代を代表するモデルである。
「往年の70年代のプロダクトを現代の感性でブラッシュアップする。『327』の考え方がまさに“シフト”でした」(小澤さん)。
1976年に発売された「320」。
アーカイブを掛け合わせた「327」は斬新のひと言だった。ドーバー ストリート マーケット ギンザなどに並んだそのモデルは瞬く間に完売した。
 

チャンキーな一足が誕生!

ボリュームあるフォルムの「57/40」。1万5000円/ニューバランス(ニューバランス ジャパン 0120-85-0997)
「57/40」の見どころは「327」顔負けのボリューミーな体躯にあるが、ラスト(木型)にはすらりとしたシルエットを特徴とするSL-1ラストを採用している。
「574」といえば安定性重視の、どっしりとしたSL-2ラストがそのアイコンである。このマイナーチェンジはまさにニューラバランスらしい“バランス”を慎重に探った結果だ。「650」のソールをミックスしたのが“足すデザインワーク”だったとすれば、SL-1ラストの採用は“引くデザインワーク”である。
「327」にあやかったのはプロポーションだけではない。ビッグNロゴと呼ばれる大きなロゴもそうだ。その体躯と比べても見劣りしないロゴは、いまの気分を的確にあらわしている。
キャッチーな「ビッグNロゴ」。
エキセントリックなコンセプトながら、仕上がってみればものの見事に調和していた。はたからみればデザイナーの頭を悩ませそうなお題だが、案外あっさり描けたのかも知れない。時代もコンセプトも異なるモデルとはいえ、いずれもニューバランスらしさに溢れているからだ。デザイナーの苦労話が漏れ伝わってこなかったのも、その推測を裏付ける。
新色はネイビー、グレー、バーガンディというニューバランスを代表する3色のトリコロール。ファンの琴線に触れるカラーパレットは、下駄を履かせずとも十二分に美しい。
そして生産拠点にアジアを選んで1万円台というじつに良心的な価格設定を実現した。「574」をベースにしていることを考えれば、賢明な判断である。


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