風呂敷には大人を感じてしまう。丁寧に扱っていると感じるし、それは贈る相手を大事に思うということだろう。
ともあれ包むだけだから練習はいらない。風呂敷デビューは今すぐできるのだ。そんなビギナーにぜひすすめたいのが、ロロ・ピアーナのその名もずばり「フロシキ」である。
落ち着いた、深みのあるベーシックカラー。縁の仕上げもシンプル&グラフィカルで実に我々好みだ。そして素材は最上級のカシミヤ100%。そこはかとなく漂う品の良さは和装にもマッチするはず。こういう風呂敷、探しても絶対にないんだよな、と思った次第。
いずれは包み方や結び方のバリエーションを楽しむのもアリ。まずは風呂敷慣れしていただこう。紙袋は確かに便利だけれど、中身の菓子折はたいてい垂直に立っている。でも風呂敷なら地面と平行になる。向きが変わるだけだが、扱いの違いは想像しただけでわかる。それがマナーの入り口。
風呂敷とは、大人をちゃんとした大人にしてくれるアイテムなのである。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文