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2021.02.27

からだ

甘酒が筋トレやダイエットに効果的!? 管理栄養士に聞いた、意外と知らない効能

“飲む点滴”と言われるほど栄養価に優れていることから、ここ数年人気が高まっている甘酒。最近はいろいろな種類を置いているスーパーも増えている。
とはいえ、「ただ甘いだけで苦手」「糖質が心配」という人も多いだろう。しかし、実は健康を意識する大人の男にも打ってつけなのだ。
そこで今回は、日本酒造組合中央会認証の日本酒スタイリストで管理栄養士のこばたてるみさんに話を伺い、意外と知らない甘酒のパワーを紐解く。

まず知っておきたいのは、甘酒には大きく2つの種類があり、作り方も栄養価も全然違うということ。
①「酒粕」を原料にした甘酒
・酒粕を水に溶き、砂糖などを添加して作る。
・アミノ酸、ビタミンB群に加え、「レジスタントプロテイン」と呼ばれる食物繊維が豊富。
・アルコール度数は1%以下。
②「米麹」を原料にした甘酒
・蒸した米を麹菌で糖化させたもの。砂糖は添加されていないものが多く、自然な甘みが特徴。
・ブドウ糖、オリゴ糖、ビタミンB2、アミノ酸などが含まれる。
・アルコールは入っていない。
十六穀米を使った物やパウチタイプなど、さまざまな甘酒がラインナップしている。
では、大人の男はどちらを選んだらいいのか。
ダイエットをしたいなら、酒粕がいいでしょう。酒粕に含まれているレジスタントプロテインというのは、『難消化成分』のひとつ。小腸で消化吸収されにくく、タンパク質なのに食物繊維のような働きをするため、糖の吸収を抑えたり、腸内環境を整えてくれたり、コレステロールを下げる効果も期待されています。さらに糖質代謝に欠かせないビタミンB1、脂質代謝に必要なビタミンB2を多く含んでいます」。
なんと! 甘いのに、ダイエットにいいとは。
おすすめは朝。1日のエネルギー源になってくれるので、糖質が気になる人でも安心です。また、忙しいから、面倒くさいからと朝食を抜く人も多いと思います。そんなときこそ、栄養価に優れた酒粕の甘酒を飲んでほしいですね」。
では、米麹の甘酒はどうだろう。
米麹はデンプンがオリゴ糖やブドウ糖に糖化されて甘くなっています。ブドウ糖は体内への吸収が、ほかの糖に比べて速いのが特徴で、運動後のリカバリードリンクとしてぴったり。私が指導するバイクレーサーにも、レース後に米麹の甘酒を飲んでもらっています」。
さらに疲労回復をサポートするビタミンB群や、筋肉の合成やエネルギー代謝をスムーズにする必須アミノ酸まで含まれているのだ。
持久系スポーツを楽しむ人のなかには、味が苦手だからとエネルギードリンクを避け、甘酒に切り替える人も出てきている
ちなみに米麹の甘酒の基本は水、米、米麹のみ。だから、素材によって、完成する味わいが驚くほど違う。最近は日本酒と同じ米や水を使った甘酒を作る蔵元も増えているので、好きな日本酒の甘酒を取り寄せて、飲み比べてみるという楽しみ方もある。
虎ノ門にある日本の酒情報館では、甘酒の試飲ができる(有料・緊急事態宣言中は中止)。同じ甘酒でも全然味わいが違うことに驚くはずだ。
だが、やっぱり甘いのが苦手という人もいるだろう。
「そういう方はまずは裏面の炭水化物量を見てください。炭水化物は糖分とほぼ同じですから、炭水化物の数値が少ないほうが甘さが控えめです。
また、牛乳や豆乳、アーモンドミルクなどと1:1で割ると、甘みが薄くなるうえ、タンパク質やカルシウムなどを同時に補給することもできます。これは前述した朝ご飯がわりにもぴったりです」。
最近では米麹甘酒を乳酸菌で発酵させたものも登場。酸味があるため、さっぱりとした味わいで、甘酒が苦手という人にも好評とのこと。
思っていた以上に体にいいことがお分かりいただけただろうか? とはいえ、飲み過ぎれば、もちろん太る原因になる。1日200mlを目安に、ほどほどに楽しもう。
こばたてるみ●管理栄養士、公認スポーツ栄養士、健康運動指導士のほか、日本酒スタイリストとしても活躍。Jリーグやプロ野球、競泳などトップアスリートの栄養サポートや、食事のアドバイスなどを行う。著書に『スポーツ栄養士のキッチンから』(日本医療企画)など。
 
林田順子=取材・文


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