ヨットの連結具とロープをモチーフにした「フォース10」に代表される、革新的なジュエリーを作り出してきたフランスのメゾン。それがフレッドだ。
「2021年はさらなる革新に挑みたい」と、CEO自ら語ってくれた。
CEO チャールズ・レオン 氏 香港生まれ。香港中文大学を卒業後、カルティエで10年にわたり中国でのリテールビジネス開発を担当する。2006年にショーメに入社し、アジア太平洋地域の基盤を構築。
その後パリ本社のバイスプレジデントとして、ワールドワイドのセールスをマネージメントする。’18年、フレッドのCEOに就任。趣味のひとつが旅行。これまで80以上の国と地域を巡っている。
Brand Profile 1936年、フレッド・サミュエルによりパリで創業。当時珍しかったパールやカラーストーンを取り入れたジュエリーが、各界の著名人を魅了した。 現在は「フォース10」「シャンス アンフィニ」に代表されるモダンでプレシャスなコレクションを展開し、フランス屈指のジュエラーに。15以上の国や地域で、53に及ぶブティックを構えている。
創業者と日本との知られざる関わりとは メゾンを代表するコレクション「フォース10」の、ラージサイズのブレスレット。エレガントかつスポーティ、そしてどこまでもシンプル。石付きジュエリーに慣れない人が身に着けても、不思議と馴染んでくれるデザインなのだ。スーツからデニムまで、あらゆるスタイルにマッチする逸品。ぜひお試しを。K18WG、ダイヤモンド。97万3000円/フレッド 03-6679-2011 フレッドが手掛けるジュエリーは革新的でコンテンポラリーなデザインが特徴だ。だが出自をたどれば、意外にもオーセンティックなジュエラーの世界へと行き着く。
「フレッド・サミュエルがブランドを創業したのは1936年のこと。しかしその歴史を語るのであれば、やはり彼の家系についても語られるべきだと思います」。
CEOを務めるチャールズ・レオン氏は、創業者フレッド・サミュエルについて語り継がれるいくつかのエピソードを教えてくれた。
「彼はフランス人ですが、宝石取引の拠点として父親が移住したアルゼンチンで生まれました。父親のダイヤモンドや真珠、カラーストーンに対する情熱を、幼い頃から身体で感じとっていたのです」。
その父親はのちに、“南米のパリ”と呼ばれた首都ブエノスアイレスの目抜き通りに宝石店を構えるにいたった。そして叔父もまた、ダイヤモンドなどを扱う宝石商であったという。フレッド・サミュエルはまさに、ジュエリーに囲まれて育った人物なのだ。
「彼がジュエリー業界で働き始めたのは16歳のとき。まずは模造の真珠を扱っていた“ワームズ”という会社で基礎を学びました。その後フランスのミキモトで働き、スペシャリストとしての一歩を踏み出します。また日本やアメリカを旅行し、ヨーロッパ以外の文化に触れ見聞を広めていきました」。
創業者がミキモトで働いていたという事実にも驚くが、当時の日本の真珠養殖技術の高さがうかがえる、興味深い話でもある。
「そして28歳のとき、パリのロワイヤル通りにブティックをオープン。これがフレッドの始まりです。第二次世界大戦後には自身と会社を“モダン ジュエラー クリエイター”と定義しました」。
幼少よりジュエリーに親しみ、コスモポリタンとして経験を積んだフレッド・サミュエル。伝統を知り尽くした人物だからこそ、真の革新を生み得たのかもしれない。
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