打ち上がっていくロケットに、心の中で声援を
慌ただしく準備を進めるなか、ついに迎えた打ち上げ当日。米国東部時間11月15日午後7時27分(日本時間11月16日午前9時27分)、カウントがゼロになると、野口宇宙飛行士を乗せたCrew-1は、ケネディ宇宙センターの39A射点からファルコン9ロケットとともに空高く昇っていった。
西川はそのときの様子をこう語る。
「打ち上げ時は拠点の会議室にいました。夜だったので、遠くにロケットの光が上がっていくのが窓からよく見えました。空高く上昇する光を見ながら『おおっ』という気持ちはありましたが、軌道投入までは安心できないので、静かに見守り、安全に飛んでくれと祈っていましたね」。
感動を覚えながらも、それを表には出さなかったのは冨永も同じだ。
「打ち上がる瞬間は振り返ってちらっと見たりもしたんですけど、空高く上がったあとはもう、パソコンで淡々と作業を。
緊急事態が起こったらすぐに危機管理モードに切り替えられる体制に入っていたので、心の中では『行けー!』と叫びながら、筑波宇宙センターやヒューストンのジョンソン宇宙センターにいるメンバーがTeams(オンラインコミュニケーションツール)に書き込むモニタリング情報の内容を追っていました。口にはしないけど、みんなそれぞれ、喜んだりドキドキしたり、いろんな思いを持っていたと思います」。
Crew-1は、打ち上げから約12分後にロケットから切り離されて所定の軌道へ投入された。世界が見守るなか、打ち上げは無事に成功。ふたりもやっと安堵した。
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