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個人邸のために製作されたシャルロット・ペリアンのキャビネット。当時2台しかなかった稀少なものに、荷物を無造作に置いているところも新鮮。「搬入時、建物のエレベーターに入らなかったので部品をすべてバラしたんですが、戻すのに12時間もかかった思い出が」。(溝口さん)
溝口 あと、雑誌を見ていると、海外のVIPの住まいが載っていることがあるでしょ。そういうのを見て、勝手に親近感湧いたりしませんか?
藤井 わかる、いろいろつながるよね。カニエ・ウェストを好きな人がいて、雑誌で自宅が載っていたとして。“あ、こういう椅子に使っているんだ。へ〜、これがジャンヌレの椅子ね”って。それだけでその椅子が興味の対象になったり。
逆に、カニエを好きじゃない人がジャンヌレを使っている姿を見て好印象に変わったり。勝手に、いろいろなことを共有できる貴重な世界。だからこそ、優れた作品は受け継がれていくべき、という気持ちが強いです。100年、200年後も残っていてほしい。洋服の工場も同じなんですよ。優れた技術は潰しちゃいけない。
溝口 そうですね、海外に出ると、いかに日本の作品や手仕事が素晴らしいかを再確認します
藤井 本当にそう。日本の手仕事には圧倒されます。ジョージナカシマの作品を手掛ける桜製作所や、天童木工の技術も素晴らしい。
溝口 昔つくられた優れたデザインというのは、必然的に今も残っていることが多いんです。有名・無名にかかわらず、手仕事の良いものは、その時代ごとの誰かしらにバトンが渡されていく。
僕らもそれが現行品だろうが、ヴィンテージだろうが、引き継いでいきたいと思っています。それが作家にとってもいちばんうれしいことだと感じるから。


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