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背景や理由を調べると、もっとインテリアが楽しくなる

「2000年代に入ると、アートとデザインがボーダーレスになり、アートとしての家具作品が世に数多く登場しました。その代表作が、壁際に置かれたマーク・ニューソンの大理石の椅子です。大理石の薄いブルーと、バンクシーの作品『鳥の手榴弾』の色合いを統一させることで空間に柔らかな空気感が生まれました」。(溝口さん)
溝口 雑誌でも洋書でも、見ているうちに自分の好きな形やデザインってなんとなくわかってくるんですよ。これは好き、これは苦手、とか。流行に関係なく、感覚で理解しますから。
で、例えば好きな椅子が雑誌に載っていたとして、そこに絨毯やテーブルが上手にスタイリングされていると、“あぁ、この椅子はこういうものと相性がいいんだ”と、なんとなく見えてくる。洋服と一緒ですね。
藤井 本当にそうですね。あと、その作品をよく理解することも大切ですね。ジーンズはなぜこの形なのか、マウンテンパーカはどうしてこうなったのか、と同じ。どういう背景や理由があってこの作品が生まれたのかを調べると、もっとインテリアの捉え方が楽しくなる。
溝口 ちなみに今日撮影したお宅は上級編ですけどね。古い家具とアート、そしてストリート作品が絶妙にミックスされていて、すごいと思います。
藤井 確かに。ここはなかなか初心者には難しい。でも、本当に勉強になります。そういう意味では、昔と違って今はセンスを養える時代ですよね。どこからでも情報の入り口があるし。インスタにアップされたインテリアひとつ見てもすごく勉強になる。
溝口 ただ、情報が入りやすいからこそ、間違った情報もネットには溢れているので。そこは気をつけてほしい。服と違って気軽にポチッと購入できないものですから。インテリアに関しては、信頼できるショップやスタッフを見つけることがおすすめです。
藤井 その点、僕は溝口さんと知り合えてラッキーでしたね。知り合うまではインテリアの世界って格式が高かったから。前から「ギャラリー サイン」は知っていたけど、知り合いしか店に入れない空気だったし。
溝口 格式を高くしているつもりはなかったんですけど(笑)。やはりラインナップ的に高額なものが揃っていたのでお客さまも40〜50代から、という感じにはなっていましたね。
藤井 まさにオーシャンズ世代ですね。
 
溝口至亮(ギャラリー サイン)=写真 仁田ときこ=文


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