藤井 溝口さんと会うまでは、北欧系のインテリアが好きだったんです。家族構成が妻と娘2人という女子の多い家なので、自宅にも柔らかな印象のインテリアを置いていました。
でも、溝口さんと出会った縁もあって、ピエール・ジャンヌレの椅子を一脚買わせてもらって。さらに日本のインテリアにも興味が湧くようになり、おかげで好きなインテリアの世界が広がりました。ちなみに、溝口さんはどういうインテリアのスタイリングが好きなんですか?
溝口 僕はインテリアに関しては“引き算”の考えなので、余白を楽しむ空間づくりが好きです。たくさん並べるというよりは、少ないものでスタイリングを楽しんでいますね。
藤井 そういうインテリアの知識ってどう身に付けたんですか?
溝口 学校で専門の勉強をしたわけではなく、ただ好きだっただけです。通っていた学校も普通の大学だったんですよ。洋服やインテリアを好きな人も周りに全然いなかったので、毎週ひとりで原宿の店に通っていましたね。ちょうどチャールズ&レイ・イームズがブームになる、ちょっと前だったと思います。
藤井 ファッション業界もみんなが「イームズ、イームズ」言い出す前ね。
溝口 雑誌で気になる作品を発見しては扱っている店を調べて、足を使ってひたすら見に行っていました。インテリアに関する洋書も欲しかったんですけど、とても高額だったので……。日々アルバイトをしては貯めたお金で神保町や池袋の古書店で買い漁っていましたね。ほんと、すごい貧乏学生でしたよ(笑)。
藤井 やはり現物を見ないとわからないもの?
溝口 はい。誌面ではわからないことも現物を見てわかることがたくさんあるんです。“これはどうなっているんだろ?”という疑問点を自分なりにまとめて、現物で“やっぱりそうだった!”って答え合わせをして。
藤井 現物で得る感動は、紙とは違うってことね。
溝口 でも、雑誌をたくさん切り抜いていましたね。すべては残せないから、好きな部分だけスクラップして。ちなみに、今も大切に保管しています。
藤井 僕も中学生の頃、ニューバランスの1500が欲しかったから、雑誌から切り抜いて貼っていたなぁ。どこで売っているかも当時はわからなくて。
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