歌い、取り戻すソウル
「2時30分」というタイトルの曲が、リズム&ブルースのムードに引き込んでいく。ミラーとレオーネの歌声は、声質のほかにも、明らかな違いがあった。
「2時30分」を歌うレオーネは、言葉を慎重に紡ぐというよりも、挑戦的にぶつけていく。「自分がつかめない、見つからない」と謳う。「何も信頼できない、何も支えが見つからない」。この曲も鬱がテーマだ。レオーネも2年ほど前に鬱になった。
ミラーの話によると、その頃のレオーネは、曲を書いたり歌ったりすることなど、とても考えられない状態だった。だが、ミラーが仲間とともに人前で演奏を披露したとき、そこに来ていた幼馴染のレオーネに声をかけ、次回は参加してみないかと誘った。
「やめとくよ、向いてないし」とレオーネは答えた。ミラーはそのとき、幼馴染に鬱の症状が見られることに気づいたのだという。スピーカーから流れる「2時30分」を歌うレオーネの声に力がこもり、こんな歌詞が続く。「ここはひどくうるさいのに、離れたいとは思えない。君が吐く空気をただ吸っていたい」。
痛みと苦しみに満ちた曲を切々と歌うふたりのシンガーが、目の前でおどけて踊っている男ふたりと同一人物だとは、なんだか信じられない。「2時30分」の歌詞は、「罪」と同じく結論を出さないまま、フェイドアウトで終わった。
彼らの話をもっと聞きたい、人生で最も暗い瞬間をどうやって乗り越えられたのか、ぜひ知りたいと思わずにはいられない。ミラーがこちらを向いて、「もう1曲聴く?」と問いかけた。次の曲のタイトルは「ビューティフルライフ」。「やすらぎは川の流れに似ている」という一節で始まり、今度はふたりが一緒に歌っていた。
今後の出演予定について詳細は
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ミーガン・スズキ=写真 カイリー・ヤマウチ=文 翻訳=上原裕美子
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