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誰も我慢しない、何も犠牲にしない家

細かなところまで犬LOVE。3月末にオープン予定のドッグカフェのインテリアとしても活躍してくれそう。また未確定ではあるが、遠藤さんは新たな愛犬を迎え入れることも考えているとか。
実は遠藤さんは、12年ほど前に新築マンションを購入し、奥さま、愛犬のトーラスとともに東京で暮らしていた。3LDKのそのマンションは立地も住み心地も良く、具体的に強い不満があったわけではないという。
「“東京のマンション”というのはとても便利ですよね。でも、少しずつ何かを我慢していたんだと思います。マンションという箱の中から抜け出し、残りの人生を自分たち家族が満足できる家で過ごしたくなったんです」。
住み慣れたマンションを売却したのが’18年のこと。そこから新しい家造りの日々が始まったのである。
「1階はアメリカらしさを意識しました。といっても“コテコテのアメリカ”ではなく、モダンな雰囲気も感じられるような空間にしたかったんです」。
たくさんのオブジェは西海岸やハワイなどアメリカ由来のものが多いとか。学生時代からアメカジに親しみ、ビームス プラスの立ち上げに携わった遠藤さんの志向が垣間見える。
「ビームス プラス」のレーベル立ち上げに携わった遠藤さんだから、そのあたりのディレクションはお手のもの。テーブルやチェアはもちろん、ペナントやオブジェといった細かいインテリアにいたるまで、遠藤さんの長年にわたる「アメリカへの思い」が反映されている。
無垢の木材を随所に用いた室内は、レザーやデニムと同様に、経年変化を楽しむ空間ともいえるだろう。
「このカフェが、犬も一緒に寛げる新たなコミュニティの場にになればいいなと考えています。会社員としての仕事もありますので、最初は週末のみの営業で」。
そうして遠藤さんは「実は妻が作るスイーツが玄人はだしでして……」と言いながら、ケーキやタルトの写真を見せてくれた。その見た目はまさに“お店のヤツ”。「そんなわけでカフェはいずれ、妻の主導で営業していくことになると思います(笑)」。
では居住スペースはいかなるものか。後編では趣味を犠牲にしない生活空間についてお伝えしよう。
 
HOUSE DATA
竣工:2020年11月
構造・規模:木造・地上2階
敷地面積:353㎡(約106坪)
建築面積:81.98㎡(約24坪)
設計:株式会社ソライロデザインワークス https://solairo-designworks.com
間取り:正面から見て1階右側がカフェスペースとなる。前庭および裏庭あり。1階左側と2階が居住スペース。キッチン、リビング、ベッドルームの仕切りがない開放的な作りが特徴だ。2階と1階カフェスペースは屋内のらせん階段でつながっている。
 
清水将之、山本雄生、川崎一徳=写真 加瀬友重=文


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