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厳しい環境規制をチャンスに

ホンダ初の四輪車は軽トラックの「T360」、次いで普通乗用車の「S500」、そして1967年には、初の軽自動車「N360」を発売。
愛らしい見た目と当時の軽の常識を覆す広さとパワー。高度成長期、3C(カー・カラーテレビ・クーラー)が三種の神器ともてはやされた時代にベストセラーとなった。
N360。今でも販売されている「Nシリーズ」の原点だ。
大きな飛躍のきっかけになったのが、アメリカでの「1970年大気浄化法改正法(通称マスキー法)」の成立だ。
当時問題となっていた公害の元凶を車とし、1975年以降に製造する自動車の排気ガス中の一酸化炭素と炭化水素の排出量を、1970-1971年型のなんと1/10以下にしなければならないなど、世界で最も厳しいと言われた規制で、達成できなければ、アメリカでの販売はできない。
当然フォード、GM、クライスラーのアメリカビック3は猛反発。しかし、本田宗一郎は、ビック3に追いつく最大のチャンスと捉えた。そして、1972年には世界で初めてマスキー法をクリアしたエンジン「低公害CVCCエンジン」を発表する。
このエンジンを搭載したのが初代「シビック」だ。当初から世界戦略を見据えて開発され、その目論見通り世界的なヒット車となった。
CVCCエンジンを搭載したシビック。排出ガスがクリーンだっただけでなく、希薄燃焼によって低燃費も実現していた。


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