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“スウェード”の名付け親はストリート

プーマ スウェードの前身であるプーマ クライドはプロバスケットボール選手、ウォルト・フレイジャーのシグネチャーモデルだ。©️PUMA
クライドはウォルトのニックネームだった。いつだってロングコートに中折れ帽というギャングのような格好をしていたウォルトは、その風体からクライドと呼ばれていた。ご推察のとおり、アメリカン・ニューシネマの傑作『ボニー&クライド』から採ったニックネームである。 相手のボールを盗るのが上手かった彼のプレースタイルにもその名はぴったりだった。
全米屈指のスターの名を冠したプーマ クライドの人気は絶大だった。
1979年に契約が終了すると、クライドを廃盤にしないでくれという声が殺到した。プーマは一計を案じ、クライドの刻印を取り払ったスニーカーを売り場に並べた。当時の靴箱をみると、モデル名のところにも“PUMA”と刻印されている。
ブランド名もモデル名もプーマというのは少々ややこしい。ユーザーはほかのスニーカーと区別するためにいつしか“スエードのプーマ”と呼ぶようになった。そうしてそのまま正式名称に昇格。史実によれば、SUEDEの刻印が登場するのは90年代のことである。
スエードがアイコン的レザーとして定着している理由を探れば、ルーツとなるクラックがそもそもスエード素材を纏っていたからだ。競技用のスニーカーとしては珍しかったが、トレーニングシューズにおいては比較的ポピュラーな素材だった。
クライドが消滅し、スウェードの名を冠されるまでの10年余りの間、そのスニーカーには実はもうひとつの名が与えられている。「ステーツ」だ。その呼び名はイギリスを中心にヨーロッパで広まった。アメリカのヒップホップのブームがイギリスへ飛び火すると、彼らの足元を飾った“スエードのプーマ”も上陸した。ヨーロッパの人々はアメリカに敬意を評し、アメリカを意味するステーツの名で呼んだというわけだ。
 
[問い合わせ]
プーマ お客様サービス
0120-125-150
竹川 圭=文


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