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2021.02.03

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捨てるべきは「適応」。ストレスの時代に、自分本来の姿に戻るという解決策

当記事は「Forbes JAPAN」の提供記事です。元記事はこちら
ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン 代表取締役 大西茂久
2020年は誰も予想のつかない厳しい年になったが、コロナ禍で増強されたストレスは、そもそも私たちが日々抱えていたものでもある。
マインドフルネスを企業や個人に提供するラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン」の大西茂久に、昨今注目されている瞑想、それによって私たちがストレスから解放されるのか、今、なにを捨てる=手放すべきかを聞いた。

──マインドフルネスという言葉自体は知られていますが、実践することによって何が得られるのでしょうか。

マインドフルネスは、とても多様な効能があって、例えばストレスに効くとか、モチベーションが上がるとか、そういう意味では少し捉えにくいかもしれません。でもひとつ確かに言えるのは、心のトレーニングであるということです。
筋力トレーニングを続ければ筋肉が維持できるように、瞑想のトレーニングを行えば穏やかさや明瞭さといった健やかな心が維持できます。マインドフルネス瞑想でやるのは、呼吸に注意を向け、意識を集中させ、気が散ったらまた呼吸に注意を戻す。このトレーニングをすることで、過去の後悔や将来の不安を考えようとする脳へかかる負荷を低減することができます。実際に脳の仕組みが変わることも科学的に証明されていて、例えば、不安や恐れを司る扁桃体という部分の密度が小さくなることがわかっています。

──マインドフルネスにも、いろいろな実践方法があると聞きました。

座る、立つ、歩く、横たわる、どんなやり方でも大丈夫です。要は、注意を呼吸にもっていき、集中を持続させることで脳の仕組みを変えることができるか否か。ただ寝そべるだけでは脳の仕組みを変えることはできないので、ここがポイントですね。
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──貴社は、企業・団体向けに「マインドフルネス」の実践を行っていますが、率直に、受講する人たちはやはり疲れている方が多いのでしょうか?

疲れていますね。しかし第一声で「疲れている」とは皆さん言わない。言ったらダメな雰囲気があるのでしょうか。これは少し怖い状況です。その我慢の積み重ねが、燃え尽き症候群やうつにつながることさえあるからです。
自分の状態のことを言えないという心理的安全性の低い状態は多くの企業で見られ、組織・チーム内において、決定的なマイナスになっていると思います。もしかすると、日本の経済の停滞感の大きな要素かもしれません。
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──まるで皆が仮面をつけている状態と言えますね。

そういった皆さんの肩の力を抜き、仮面を取ってもらいたいと思っています。自分が今どんな気持ちの状態でいるか──、それを知るために、マインドフルネス瞑想では呼吸と向き合い、「自分のカラダが今、どう動いているのかを〈感知〉する」ことから始めてもらいます。

ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン 代表取締役 大西茂久

──2020年は多くの人がをストレスを感じた1年でした。心のケアを実践する立場として、この年をどう見ていらっしゃいまますか?


みなさんが、ストレスに適応していたことに「気づいた」年になったのではないか思っています。たとえば、テレワークの導入で満員電車の通勤から自宅勤務になったとき、いいなと感じた人も多かったと思います。満員電車のストレスに適応していた自分に気づいて、本来あるべき姿はどういう状態がいいのだろうと考える契機になったと思います。

コロナ禍によって世界が今のような状態になって、多くの苦しみや負担が表に出てきたことにより、メンタルケアのリテラシーが注目を浴び、注力すべきものとして認識されるようになったと思いますね。
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アメリカでは過去、マインドフルネスが注目を集める機会が幾度かありました。それは2001年のテロや、2008年のリーマンショック。まさに世界が大きなストレスを感じる時に、必要とされているのです。

捨てるべきは「適応」

──頑張ること、戦うこと、成果を出すこと、スピードの時代だからこそ多くのことが求められ、抜きん出ることが評価の第一となる今、強い負担を感じている人は多いと思います。

解像度を高めよ、時代を見通せ、などというクールなワードは、もう「真逆」であるべきかなと思っています。
革新的なサービスが次々に生まれ、世界が市場となり、既存の事業が将来も維持できるかも不確実で先を見通せない今、無理にMUSTにしなくていい。

頑張らないといけない、先を見通さないといけない、そういうことに「適応」するのは、時代に逆行しているように見えます。それよりも自分はどうしたいと思うのか、物事をWANTの観点で捉えるほうが大事だと思います。

──多くの人が、仕事や勉強で、できないこと、負けていること自体を、怒りや自己嫌悪、焦りなどのパワーに変えていると思いますが、これも適応でしょうか。

他人との比較による不足感をパワーにしようとする人はいますね。自分もかつてはそうだったと思います。勝負すれば勝たなくてはいけない、人より良いものを生み出さないといけないといったMUSTの要件を自分に課すのは、「自分で作り出した自分に適応してしまっている」と言えるでしょう。

話題が少しそれますが、そういう方は呼吸も浅い。これは万病の元ですし、終わらない競争ゲームを続けていたら、いずれカラダは悲鳴を上げるでしょう。
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