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──まるで皆が仮面をつけている状態と言えますね。

そういった皆さんの肩の力を抜き、仮面を取ってもらいたいと思っています。自分が今どんな気持ちの状態でいるか──、それを知るために、マインドフルネス瞑想では呼吸と向き合い、「自分のカラダが今、どう動いているのかを〈感知〉する」ことから始めてもらいます。

ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン 代表取締役 大西茂久

──2020年は多くの人がをストレスを感じた1年でした。心のケアを実践する立場として、この年をどう見ていらっしゃいまますか?


みなさんが、ストレスに適応していたことに「気づいた」年になったのではないか思っています。たとえば、テレワークの導入で満員電車の通勤から自宅勤務になったとき、いいなと感じた人も多かったと思います。満員電車のストレスに適応していた自分に気づいて、本来あるべき姿はどういう状態がいいのだろうと考える契機になったと思います。

コロナ禍によって世界が今のような状態になって、多くの苦しみや負担が表に出てきたことにより、メンタルケアのリテラシーが注目を浴び、注力すべきものとして認識されるようになったと思いますね。

アメリカでは過去、マインドフルネスが注目を集める機会が幾度かありました。それは2001年のテロや、2008年のリーマンショック。まさに世界が大きなストレスを感じる時に、必要とされているのです。

捨てるべきは「適応」

──頑張ること、戦うこと、成果を出すこと、スピードの時代だからこそ多くのことが求められ、抜きん出ることが評価の第一となる今、強い負担を感じている人は多いと思います。

解像度を高めよ、時代を見通せ、などというクールなワードは、もう「真逆」であるべきかなと思っています。
革新的なサービスが次々に生まれ、世界が市場となり、既存の事業が将来も維持できるかも不確実で先を見通せない今、無理にMUSTにしなくていい。

頑張らないといけない、先を見通さないといけない、そういうことに「適応」するのは、時代に逆行しているように見えます。それよりも自分はどうしたいと思うのか、物事をWANTの観点で捉えるほうが大事だと思います。

──多くの人が、仕事や勉強で、できないこと、負けていること自体を、怒りや自己嫌悪、焦りなどのパワーに変えていると思いますが、これも適応でしょうか。

他人との比較による不足感をパワーにしようとする人はいますね。自分もかつてはそうだったと思います。勝負すれば勝たなくてはいけない、人より良いものを生み出さないといけないといったMUSTの要件を自分に課すのは、「自分で作り出した自分に適応してしまっている」と言えるでしょう。

話題が少しそれますが、そういう方は呼吸も浅い。これは万病の元ですし、終わらない競争ゲームを続けていたら、いずれカラダは悲鳴を上げるでしょう。


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