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理想が邪魔をすることもある

そこからわかるのは、理想を高く掲げることは、目の前に現れた予期せぬチャンスを阻害することもある、ということ。強い理想を持つことで、それとは異なる道が現れても、そちらに向かおうとは思いにくく、理想は視野狭窄をもたらすこともあるのです。
明治維新で最終的な勝利を納めた人たちは、最初に掲げた高い理想を現実に合わせてどんどん変化をさせていきました。最初は「尊皇攘夷」などと外国勢力を追い出せと言っていたのが、外国の強さを知るや開国に考え方を変えました。
ほかにも、幕藩体制よりも中央集権国家の樹立が重要としたり、武士階級の支配を徹底するよりも四民平等で有能な人の抜擢を重視したり、さまざまに考え方を変えています。むしろ、大切にしていた高い理想にこだわった人々は、敗者となっていきました。
 

自分は「理想家」か「現実家」か

このように見ていくと、成功する人には、高い理想を掲げて計画的に一歩一歩努力を積み重ねていくという「理想家」タイプと、明確な理想を掲げるのではなくその時々の現実に身を任せて進んでいく「現実家」タイプがあるようです。
どちらの方針が良いのかはどう決まるのでしょうか。ひとつは個人の資質があるでしょう。そもそも先を見通して理想を置くことが苦手な人は「理想家」タイプにはなれません。
性格によって向き不向きがあるということです。しかし一方で、自分の性格の適応度だけで選んでも、それが自分の今いる環境に適合するかどうかはわかりません。


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