OCEANS

SHARE

環境の変化の激しさによってどちらがよいかは変わる

それは、自分を取り囲む環境の変化がどの程度激しいかは、その人によって異なるからです。例えば、スポーツや音楽や伝統芸能のように、下手すると何百年間も大枠の「ルール」が変わらないようなものについては、できるだけ早い時期に理想を定めて、そのゴールに向かって計画的に努力をしていく方が良いでしょう。
むしろ、そうしなければ一流になることはありません。性格いかんに関わらず、「理想家」でなければならないのです。
ビジネスで言えば、不動産や保険や薬の営業など、昔から勝ちパターンがあまり変わらない成熟した業界にいる人はこちらに近いでしょう。
 

変化の激しい現代では、理想を盲信してはいけない

逆に、IT業界などの新しい領域で「勝ちパターン」ができていない、あるいはどんどん変化する業界にいる人は、「現実家」となって変化をしていかなければ、いくら頑張っても間違ったゴールに向かってしまうかもしれません。
そして、言うまでもなく今は変化の激しい領域が多い時代です。そうであれば、「現実家」として生きていく方が、うまくいく人は多いのではないでしょうか。
つまり、上司世代の若い頃、高度成長やバブル期くらいまでは、ひとつの方向に向かって努力すればよかったのが、今の若者はむしろ、理想を盲信しすぎずに、状況に合わせてどんどん変化する方がうまくいく可能性が高いわけです。
それなのに「理想を掲げて真っすぐ進め」と言う上司は、「それはあなたの時代の常識ですよね」と昔の人扱いされてしまうのも当然ではないでしょうか。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ
「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
上に戻る
組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
石井あかね=イラスト


SHARE

次の記事を読み込んでいます。