「価格に見合う価値はあるのか問題」について

発表直後は6万7980円［税込］という価格も大いに話題となった。
7万円に迫る価格帯は、ヘッドフォンでは超高級に分類される。傘下にある「ビーツ・バイ・ドレー（Beats by Dre）」の最上モデル、Beats Studio3 Wirelessが3万8280円であることを考えれば、プライスの差は歴然。
果たして、AirPods Maxにはその重責を担うスペックが備わっているのだろうか、と半信半疑の人も多いに違いない。
だが、AirPods Maxは、アップル社製品であることを抜きにしても、競合他社のそれとは一線を画している。

まず、ヘッドフォンに最も求められるのは、音質である。
AirPods Maxは、独自の音響設計を採用することで、“原音に忠実なサウンド”を追求。ネット上では「物足りない」とのコメントが散見されるが、アップルのヘッドフォンはレコードを聴くために設計されたものではなく、世論の比較対象が有線やハイレゾ音源であるとすれば、それらの指摘は芯を捉えているとは言えない。

昨今の音楽の試聴方法は、Apple Musicをはじめとするストリーミングサービスが主流となった。また、音響機材は利便性を重視してワイヤレス化が進んでいる。こうした時代背景を踏まえたうえでAirPods Maxを試聴すると、音源の解像度の高さは圧倒的とも言える完成度である。