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2020.12.25

時計

オメガの“白いスピマス”が紡ぐ物語。ホワイトクリスマスを彩る時計のスペック

「腕時計と男の物語」とは……
都心では今やホワイトクリスマスはメルヘンになってしまったようだ。温暖化で雪は降ることをやめ、代わって聖夜と呼ぶには相応しからぬ華やかなイルミネーションが街中を明るく照らしている。
この時季、思いを巡らすのは書棚にひっそり飾っていたスノードームだ。それは、かつて妻とふたりでクリスマスのパリを訪れたとき、蚤の市で見つけたものだった。
男と腕時計が紡ぐ物語。オメガ「ホワイトウォッチ」がふたりのウィンターホワイトを彩った
腕時計130万円/オメガ 03-5952-4400
凍えそうに寒い週末だった。決して達者ではないが味わいのあるエッフェル塔を中心に据え、まるで冬のパリの気高さを象徴しているようだった。それまでスノードームはアメリカのお土産のイメージが強かったが、ガラクタを広げた親父さんが言うには、1889年のパリ万博で生まれ、世界中に広まったのだとか。
そんな由緒正しきフレンチスノードームを手に入れないわけにはいかない。呆れる妻を前に数フランを払った。よく見ればそれはメイド・イン・チャイナだったけど。
激しく振れば吹雪でエッフェル塔はかき消され、静かに逆さにすれば粉雪を舞わせることだってできる。どちらも雪の降る光景は美しく、いつまで見ていても飽きない。だがそれも溶けて消える雪と同じように永遠ではない。閉ざされ、封じ込められた美しさであり、その儚さが郷愁を呼び覚ます。光をかざして見ればあの冬のパリへと時間を戻してくれるのだ。
そんな情感もあってこの冬一本の時計を手に入れた。オメガの「スピードマスター ホワイト サイド オブ ザ ムーン」だ。
ホワイトセラミックスをケースや文字盤、リュウズやプッシュボタンに用い、全身を白で統一する。2カウンターのシンプルなクロノグラフには、唯一モデル名のロゴとクロノグラフ秒針の先に赤をあしらい、まるでサンタクロースの笑い声が聞こえてきそうだ。寒風の中、ダッフルコートの袖に見え隠れするピュアな白に気持ちも温もる。
それにしてもスノードームの水はいったいどこから抜けていくのだろう。こぼれた跡もないのに、知らぬ間に水位が下がっている。どことなくエッフェル塔もうらぶれて見える。
もしかしたら夫婦の関係も同じかもしれない。だからこそ僕らは、これまで過ごしてきた時間を大切に思い、互いを尊重して新たなスタートを選んだ。彼女に譲ったスノードーム、そして僕の腕元にそれぞれのホワイトクリスマスがやって来る。


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