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ピンチが「マイボトル」という新たな需要を生み出した

SIGG
エコボトルを普及させるキャンペーンの一環として、オリジナルデザインを公募するコンテストも行っていた。
そんなシグのボトルが日本にやってきたのは1977年にまで遡る。当時は、飲料用のボトルとガソリンなどの燃料用ボトルの2種類が輸入されていた。
アウトドア誌『ビーパル』が創刊し、アメリカンカルチャーの影響からアウトドアで遊ぶことが日本でも注目され始めていた当時、シグといえばバーナーやランタン用のガソリン燃料を持ち運ぶボトルの代名詞的存在であった。
SIGG
日本とスイスの国交樹立150周年を記念したイベントでは、スイスを代表する製品としてSIGGのボトルが展示された。
燃料ボトルの売り上げがじつに全体の9割を占め、飲料用のボトルはほとんど売れていなかったそうだ。
しかし、事故の損害賠償などの問題から燃料用ボトルの取り扱いは徐々に縮小してゆく。結果、シグの売り上げは激減し、2004年には取り扱い自体が終了となってしまった。
そこで日本代理店を務めるスター商事が、燃料用ではなく飲料用のボトルをなんとかプロモーションするために始めたのが、「マイボトルを持とう」というキャンペーンだった。
SIGG
本国スイスでは、子供も自分用のボトルを持つのは当たり前。
使い捨てのペットボトルを買わず、自分のボトルを持つ。
この取り組みは、南青山で行われた「東京デザイナーズウィーク」との協賛により大きな話題を呼んだ。以降はメディアでの露出をはじめ、有名デパートやインテリアショップ、セレクトショップなどでも展開が広がっていく。
2008年には年間で25万本を売り上げるまでに成長したというのだから驚きだ。これは世界中での売り上げはなく、日本のみでの数字である。


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