スポーツクライミングの種目
競技としての「スポーツクライミング」は「ボルダリング」「リード」「スピード」という3つの種目に分けられる。さらにオリンピックでは、この3種目で獲得したポイントをもとに順位を決める「コンバインド」という競技方法で成績を決める。
各競技、壁を「登る」ということには変わりないが、それぞれの種目で競技方法が異なる。それぞれの競技の概要をこれから紹介していこう。
ボルダリング「ボルダリング」は高さ5メートル以下の壁に設定されたコースを制限時間内に登り切ることができた数を競う種目。コースにはボルダーと呼ばれる突起物が設置されており、ボルダーを掴んだり、時には足で引っ掛けたりしながらゴールである頂点のトップホールドと呼ばれるボルダーを目指す。
他の選手のトライを見ることはできず、各ラウンドの前に選手全員で課題を確認するオブザベーションという時間が与えられる。限られた時間でいかに頂点まで登り切ることができるかが重要となるため、身体能力だけでなく、どのように登るのかを読み解く頭脳も重要となる競技だ。
リード「リード」は高さ12メートル以上の壁を制限時間内にどこまで高く登ることができるかを競う種目。
「ボルダリング」はクライミングシューズとチョークと呼ばれる滑り止めを使用して競技を行うが、「リード」では上記の道具に加えてロープの繋がったハーネスを装着して頂点を目指す。コースの途中に設置された確保点と呼ばれる支点にロープをかけることで安全を確保しながら登り、頂点の支点にロープをかけると完登(壁を登りきりゴールすること)となる。
この競技も他の選手のトライを見ることはできず、あらかじめオブザベーションの時間が設けられている。
長い距離を登っていく競技になるため、上り続ける持久力と最小の力で登る戦略を練る力が課題攻略の鍵となる。
スピード「スピード」は高さ10メートル、または15メートルの壁にあらかじめ決められたホールドが設置されたコースをどれだけ速く登り切ることができるかを競う種目。リードクライミング同様ロープにつながったハーネスを装着するが、あらかじめ頂点で支点が確保されているため、競技中の支点確保は行わない。
この競技では、コースは事前に知らされているため、オブザベーションは行われない。いかに早く登り切ることができるか、タイムを縮めることができるかを考え、トレーニングを積んできた成果を競う種目で、いわばクライミングの「スプリント(短距離走)」だ。
コンバインド(複合)2020年に行われる予定であった東京オリンピックでは、上記3種目の順位をもとに成績を算出する「コンバインド(複合)」というフォーマットで競技が行われる。「コンバインド」では「ボルダリング」「リード」「スピード」の3種目の順位を掛け算し、そのポイントが少ない者が上位となる仕組み。
3種目の結果が順位を大きく左右するため、バランスの良い成績を残すことが求められる競技となる。どれか一つの結果が欠けてもいけないため、究極のクライマーだけが勝ち上がることのできる種目だ。
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