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2020.11.28

ライフ

現代アートの巨匠、レイモンド・ペティボンの根源である都市型ビーチサイドの暮らし

デヴィッド・カーソン、バリー・マッギー、トーマス・キャンベル。彼らは幼い頃から海で遊び、だから海のリズムを熟知し、やがて表現者として海から遠く離れた場所でも評価を得ていった。
そしてディオールとの共作が記憶に新しいレイモンド・ペティボンは、その大家。ロサンゼルス空港に程近いハモサビーチで育ったためか、作品のモチーフは、サーフィン、ベースボール、音楽、政治、宗教、小説、コミックなど多岐にわたる。
Raymond Pettibon No Title (Str8 Line.)2020 / Acrylic and ink on paper / 59 x 99 inches (149.9 x 251.5cm)© Raymond Pettibon, Courtesy Regen Projects, Los Angeles
自然に寄り添う暮らしを送り、海からのインスピレーションをダイレクトに作品へ反映するのではなく、「海も好きだしベースボールも好き」といった都市型ビーチサイドの住人ならではの感性を描いているところが、ほかとは違う彼らしさなのである。
そうした社会性をはらむため、大波でのサーファーを描いた作品に添えられる「Are Your Motives Pure?(純粋になれる何かを持っているかい?)」のような言葉も、あらゆる境界を超えて、広く伝わっていく。
Installation view of Raymond Pettibon Pacific Ocean Pop at Regen Projects, Los Angeles September 12 – October 31, 2020 Photo: Evan Bedford, Courtesy Regen Projects, Los Angeles
memo
ブラック・フラッグのロゴや、ソニックユースのCDジャケットのアートワークで知られるレイモンド・ペティボンは、アメリカ西海岸を代表する現代アーティストのひとり。アリゾナで生まれ、幼少期にカリフォルニアのハモサビーチに移り住み育った。ディオールとのコラボレーションも記憶に新しい。
最新インスタレーションはロサンゼルスのアートギャラリー「レーゲン・プロジェクツ」で開催された。展示された202枚の作品は、そのほとんどが描き下ろしだった。www.regenprojects.com

小山内 隆=編集・文


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