いい大人を包み込むハイセンスで瀟洒な遊び心
eYe COMME des GARÇONS JUNYA WATANABE MAN eYe コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン大人が楽しめるストリートウェア。その定義は難しいが、いずれの場合も中核をなすのは、品のいい遊び心ではないだろうか。であればこのアウターは、そのど真ん中を射抜く。
袖や裾にニットリブが付き、バイカラーをラグランで切り替えたデザインはまさにスタジャンの佇まい。一方で、きわめて薄いリップストップナイロンの表地には光電子ダウンを内包する。ザ・ノース・フェイスと手を組んだコラボレーションは今ブランドの定番ともいえるが、毎度その実験的手法には驚きを禁じ得ない。
街で着るダウンが完全に定着した今こそ頼りたくなる、ユーモアに富んだ服。いい大人ならきっと、その魅力に気付くはずだ。
透明化が意味するのは中身の誠実さか。それとも……?
C.P. COMPANY シーピー カンパニーブルーを基調とする配色は、防寒着ながらなんとも涼しげ。その妙味にさらなる趣を添えるのが、新素材「クリスタルレシード」だ。
10デニールの丈夫なナイロンマイクロリップストップをベースに開発されたこの生地は、優れた耐久性はそのままに“シースルー化”を実現。ゆえに内部のダウンが透けて見え、ユニークな視覚効果を誘発する。
しかもダウンの入れ方にもこだわり、通常のパック式ではなくジャケット本体に直接注入。そうやって内容量をシビアに調整することで、ダウンへの圧迫を軽減し、着用中のダメージを最小限に抑えられるのだ。透明かつタフな良作で、今冬は視界良好。もう迷わずこれを選ぼう。
明快なアイデアを具現化する鋭くも優しい感性に脱帽
DOUBLET ダブレット
「違和感のある日常」をテーマとした気鋭のトウキョウブランド。その面目躍如だ。真っ白なナイロンボディにインパクトを添える、腰元のフリンジ。
何を隠そう、この布に本体をしまいこむことで枕へと変わる、パッカブルな2-WAYアイテムなのだ。デザイナーが冬に世界中を旅した際、ダウンジャケットが機内で邪魔になった。だから枕に変身させた。その単純明快なアイデアが実に心地良く、面白い。
当て布自体のデザインにもエッジィなユーモアが見て取れる。ヴィンテージピローから着想を得て、自然豊かなカナダのマップを、ブランドの最大の特徴である刺繍を使って落とし込んだ。トーテムポールやサーモン、ヘラジカなどの味のある絵柄には、現地のお土産のような温かみが。そしてそれを眺めることで、たちまち旅行先にいるような“夢”気分に誘われるという仕掛けである。
自らの体験でつなぐ、旅とダウンと快適な眠り。「違和感のある日常」が生む、居心地のいい日常。鋭いだけでない優しい感性が、この一着から垣間見えるのだ。
竹内一将(STUH)=写真 来田拓也=スタイリング 増山直樹、野中邦彦(OUTSIDERS inc.)、早渕智之、いくら直幸=文