アンルートのスタートが転機に
「スラムダンク世代だったので、学生時代はずっとバスケットボールに打ち込んでいました。当時はNBAのような4クォーター制でなく20分ハーフ制でスタミナが必要だったため、よく走っていましたね。
20歳のときに腰のヘルニアをやってしまい、社会人になってダイエットのために走り始めたのですが、走ることには抵抗がなかったんですよね。それにランニングって自分のペースで楽しめるじゃないですか。チームスポーツだとまわりに合わせないといけないから、ヘルニアが大きなネックだったんですけど、ランニングなら大丈夫だった。それものめりこんだきっかけです。
ランニングを通じて体幹が丈夫になったのか、今は倒れてしまうほどの腰痛が出ることはなくなりました。それが走りはじめていちばん嬉しかった変化かもしれないですね」。
走ることが習慣化したのにはもうひとつ、仕事上の大きな転機があった。
「走り始めたタイミングで、ユナイテッドアローズ社内の新規ブランドとして『アンルート』が立ち上がったんです。ファッションとスポーツのミックスがテーマで、当時オープンしたショップでは夜のグループラン(複数人で集まって、会話のできるペースで走ること)を引率したりと、走ることが仕事に直結しました。どうも自分が走ってるということもあって声をかけていただいたようなのですが」。
そこで気がついたのが、街をランニングする楽しさだ。
「グループランでは豊洲のベイエリアや東京タワーのあたりをコースにしていました。夜の都市を気ままに走るのって気持ちがいいんですよね。
ちょっとした非日常の観光気分が味わえますし、街のことをフィジカルに体感できます。今でも馴染みのない場所にいくとまず走ってみますね。複数人で走るとひとりで走るよりもラクで、それもランニングが楽しくなる一因でした」。
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