プロフリーサーファーとしての歩み方
-最近加入した「WHAT YOUTH」について教えてください。直海:「WHAT YOUTH」は、フィルマーのカイ・ネビルとエディターのトラビス・フェレ達のクリエイティブチームがスタートしたユースカルチャープロジェクトです。今年に入ってからジャパンチームが発足して、創設メンバーに僕が参加することになりました。
アフェンズを日本に流通させた万歳さんという方が、このプロジェクトに誘ってくれたことがきっかけです。僕たちは「ビバさん」ってニックネームで呼んでます。
-具体的にどんな活動をしているんですか?直海:サーファーの村田嵐、渋谷玄仁、スケーターの中田海斗、ダンサーのRinaと一緒に運営しています。コラムを書いたり、アートワークを掲載したり。もちろん、サーフィンのフィルムも載せてますよ。
-新しい試みですね。始めてみてどうですか?直海:チャレンジしてますね。この間は、ある人にインタビューしに行きました。自分はインタビューされることが多いから、この経験を生かしてやってみようって。そうしたら、終わった後の録音の文字起こしがめちゃくちゃ大変でした(笑)。
でも、生き方だったり、サーフィンスタイルだったり、これまで写真や動画で見せてきたものを新しい形でアウトプットできて楽しいです。
-順風満帆という印象を受けますが。直海:そんなこともないですよ。実を言うと、契約してたスポンサーが二つなくなっちゃって。プロのフリーサーファーは、常に人の目を引きつけないといけないので。その点では、競技サーフィンと同じくらいシビアです。みんな大変なので、みんなで乗り越えていきたいですね。
-サーフィンが東京オリンピック競技になったとはいえ、業界が厳しいことに変わりはないと思います。直海:特に今年はそうです。新型コロナウィルスの影響で、知り合いのプロサーファーは減給になっちゃいました。プロ野球選手みたいに年俸で莫大なお金が入るわけではないので、スポンサーが一つなくなると、とたんに経済的に厳しくなるんです。だから、サーフィンとは別の仕事をやっている人が大勢います。可能性のあるプロサーファーが、お金を稼げずにやめていくことが多くて。そういったプロサーフィン界の現状には、すごく問題意識を感じてます。
-では今後、プロフリーサーファーとしてどう歩んでいきたいですか?直海:自分がかっこいいと思うことで、周りと自分を納得させていきたいですね。あと、プロにお金を回す。そのためにも、いままで自分がしてこなかったことに挑戦していきます。「WHAT YOUTH」もその一つです。アウトプットの場を増やして、自分のフッテージとサーフィンの素晴らしさを世間に発信していけたらなと。もっと多くの人に見て、触れてもらえれば、結果的にプロサーファーにお金が回るようになるんじゃないかと考えています。いまは、そのための畑を作ってるような感じです。必死に耕してます。
-では、最後に一言お願いします。直海:どのスポーツもそうかもしれませんが、人って大会結果とか、順位に注目するじゃないですか。その方がパッと見てわかりやすいし、宣伝にもなると思うので。
おれはその中で、あえて自分のサーフィンスタイルで人を魅了していきたいと思っています。そして、自分の次の世代にも、それを道として示してあげたい。あまり大きなことは言えないんですけど。それで「フリープロサーファー」っていう選択肢が、みんなの常識になったら最高です。
小林直海1995年7月11日生まれ。鎌倉市出身・在住。レギュラーフッター。プロ初年度の2014年に準優勝を果たし、ルーキーオブザイヤーを獲得。近年、フリーサーファーとしての活動を開始した。スポンサーは「Afends」「Zburh surf boards」「Fit systems」「Captain fin」「Grass green surf garage」「Brisa marina」。
text by 佐藤 稜馬 photo by Kazuki Murata
記事提供=FINEPLAY