’90年代後期〜2000年代の原宿カルチャーを知る読者にとっては永遠の憧れである、俳優の井浦新さん。
今なお輝き続ける理由について、語ってもらった。
カメラなど数多くの趣味。それらに対する探求心はハンパない
「コロナの自粛要請明けに、家族で久しぶりに自然の中で過ごしたことですね。カヤックにハマっていて、川でプカプカ浮いたりして。自粛期間中は家で過ごしていたので、改めて自然に触れることの大切さを感じました。
そこは活火山帯の山麓にある渓流だったのですが、水が青緑色なんです。なぜそんな色だったのかというと、火山山麓という土地柄、おそらく川には花崗岩が多く存在して、そこに硫黄や鉄分が多く含まれるからだと思うんです」。
これは、井浦自身の最近のFUNーTIMEについて聞いたときの答え。低音で落ち着き払った口調と専門的な言葉遣いは、まるで教育番組のナレーションのよう。
趣味はカメラ、登山、美術、音楽、寺社仏閣……。「井浦新」「趣味」と検索するだけで、膨大な数がヒットする。しかもそれらに対する熱量がハンパない、というより、好きの度合いが趣味の域を超えている。
言うなれば偏愛だ。井浦新のFUNーTIMEは偏愛に満ちている。そんな思いをぶつけると「そうかもしれないです」と、少しだけ相好を崩し静かに続ける。
「気になっていることを知ることで、より深求したくなるんです。これはすべて好奇心によるもの。自分を突き動かすものって何だろうと考えると、好奇心しかないんです。どれも時間と労力を要するので、自分でもこの時間を別の何かに使えたらなって思うんですけど(笑)」。
現在は、自身のアクティビティウェアブランド「エルネスト クリエイティブ アクティヴィティ」でも理想の服作りをしつつ、俳優としても活躍する姿は周知のとおり。井浦新は昔から変わらず格好いい読者の憧れ。みんなが「ARATA(井浦の旧芸名)になりたい」と思った。
今も変わらず読者を惹きつける魅力も、好奇心が根源にあるからなのだろうか。であれば、そもそも好奇心の源とは何なのだろう? 黙考したのち、井浦の口から出てきた言葉は実に意外なものだった。
「コンプレックスですね」。そう告げると、言葉を選びながら語り始める。
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