新しいスタイルの旅の拠点として
改めて、外からの人の流入という視点に立ったとき、下田は外国人に人気だという側面がある。
これまで下田は、都心にオフィスを構える外資系金融会社の幹部のような富裕層が、週末やショートバカンスを過ごす場所として選ばれてきた。彼らは金曜午後に下田に入り、真っ青な海を臨める眺望の良い家に滞在し、週明けに都内へ戻っていく。
そのようなライフスタイルが可能な人たちに、風光明媚な下田は人気が高いのだ。
そしてこのコロナ禍。さらにLACのような場所がありリモートワークができるなら、下田時間を生活に組み込める人はもっと多くいそうである。
「すでにその動きは始まっています。下田に通い始めてから3年ほどになりますが、今、海岸線沿いなどに建つ良物件への問い合わせが多いと聞きます。実際に売れていくスピードも早い。
購入者の多くは下田を拠点にしたいと考え出した日本の人。僕自身、今の時期でも東京のオフィスに行くのは週に2回程度ですから、下田を本拠に東京へ通うという生活へシフトすることも可能といえます。実際、そういう視点で旅行をしている人が増えてきたようです。
多拠点のある新しい暮らしを考えて相性の良い場所を探す。そんな旅の拠点にもLACは機能していると思います」。
ホテルに短期滞在して帰る従来の旅行とは異なる、新しい時代にフィットする旅行のスタイルも、LACは提供しているのである。
「リビングエニウェアコモンズ(LAC)」あらゆる制約に縛られることなく、好きな場所で、やりたいことをして暮らす生き方を実践するための“コミュニティ”。現在、会津磐梯、伊豆下田、岩手県の遠野など日本全国5カ所に展開する(詳しくは
HPを参照)。いずれもWi-Fi環境や電源などを完備したワークスペースと、長期滞在を可能にしたレジデンススペースからなる複合施設だ。2020年中には計10カ所のオープンを目指している。
上に戻る 「“職遊融合”時代のリアルライフ」とは……モーレツ社員が礼讃された高度成長期から、ライフワークバランスが重視される2000年代へ。そして今、ワーク(職)とライフ(遊)はより密接となり、「そもそも区別しない」生活が始まった。ワーケーションなどのサービスも充実し、職場の常識も変わり、身の回りに新しい暮らしを実践する仲間も増えてきた。さて、あなたはどう生きる?
上に戻る 小山内 隆=取材・文