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2020.10.31

ライフ

「伊豆下田でしか得られない時間がある」からワーケーションする代理店マンの3年間

「“職遊融合”時代のリアルライフ」とは……
自分らしく生きるためには“定住こそがリスク”かも。そんなことを思わせるコミュニティが「リビングエニウェアコモンズ(LAC)」だ。
そのリアルユーザーたちに話を聞き、新しいライフスタイルの可能性を導く本企画。今回は静岡県・下田市で地域を活性化させるプロジェクトに携わる長谷川 光さんを尋ねた。
PROFILE
東急エージェンシー勤務
長谷川 光さん
1969年、東京都生まれ。総合広告会社の東急エージェンシー勤務。シティプロモーションアドバイザーとして静岡県・下田市役所で地域を活性化するプロジェクトに携わる。市役所と契約した2017年から都内と下田で行き来する生活を送る。
 

3年前に自然豊かな下田市での業務がスタート

静岡県・下田市「リビングエニウェアコモンズ(LAC)」。
伊豆半島の南端に位置する下田。海や山、紫陽花や河津桜など自然が豊富で散策するだけでも気持ちが良い。
東京・赤坂にある東急エージェンシーに勤務する長谷川光さんは、2017年4月から静岡県の下田市役所に定期的に勤めている。理由は総務省による地域おこし企業人制度というプログラム。
マーケティングのスペシャリストなど、必要だけれど不足している人材を地域の自治体に企業が派遣するものだ。
「地方創生の一環による制度で、人材の東京一極集中を是正し、地域に分散させようとするものです。プログラムがスタートしてからの3年間、だいたい週に2〜3回の頻度で下田に来ています。契約先は観光交流課。観光戦略の立案、PRプランの実施が職務内容になります。
下田の主要産業は観光業で、財政の7〜8割を占めている状況ながら、観光交流客数は長く減少傾向にあるんです。そこで、その傾向を上向かせるためにはどうすればいいかと考え、ほかの観光都市との差別化を狙いました」。
下田へのアクセスは電車か車。電車利用の場合は東京駅始発の特急「踊り子」号などで終点の伊豆急下田駅へ。また熱海まで新幹線で行き、在来線に乗り換える方法も。都心からは2時間半ほどの旅程となる。
平成25年4月に作られた「下田市観光まちづくり推進計画」には、観光交流客数のピークは昭和62年の626万人、平成21年度には半分以下の300万人を下回ったとある。
電車が伊豆半島に入ると車窓には真っ青な太平洋が広がる。そしてこの海が伊豆の大きな魅力となっている。
長谷川さんは、伊豆半島の南端という地理的条件から、新幹線の停車する熱海や、伊豆半島の北部や中部にある地域と同じく、温泉、美味しい魚、美しい海、1泊2日での旅行、を売りにしているだけでは、観光地として生き残るのは難しいと感じた。
もっと若い人、これからの時代を切り拓いていく人材に目を向けてもらうためには時代に則した戦略が必要であり、長期滞在できる施設やワーケーションを可能にする環境が必須だと考えた。
「下田の良さを現代風に上書きした戦略を考え、それにフィットする実態づくりを緩やかにしていきながらPRしていく。そのためには事業者の誘致や、移住定住における新サービスを生み出す人たちの支援策が必要でした。職務内容が産業振興や町づくりの分野に踏み込んでいったんです。
そうした仕事の流れの中で出会ったのがLACです。ちょうどLAC伊豆下田の立ち上がりのタイミングで、それならば市も推奨しますので、成功事例を作っていきましょうとなりました」。


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