OCEANS

SHARE

とうとう発掘された最後の原石

ヴァイナル アーカイブが手掛けるエイティワンに登場したクラブ シー。1万2000円/リーボック(リーボック アディダスお客様窓口 0570-033-033)
アディダスのスタンスミス、スーパースター、ナイキのエア フォース 1。身も蓋もない言い方をしてしまうと、クラブ シーは数あるコートシューズのなかで後塵を拝していた。しかし逆の見方をするならば、まだ発掘されていない原石だった。
風向きが変わったのは2017年。とっかかりはヴァイナル アーカイブとのコラボレーションである。ヴァイナル アーカイブは大北幸平が2007年に立ち上げた知る人ぞ知るブランドだ。
ブラックのワントーンにライニングでグレイを効かせたカラーパレット、そこに配した’80年代リーボックのロゴマークとヴァイナル アーカイブのシーズンテーマ“ディア・ホーン”のグラフィック。プレミアムレザーとスエードという上質な素材使いと相まって、そのモデルはクールのひと言だった。
リーボックと大北のタッグは今年、エイティワンへと結実している。エイティワンはアジアパシフィックを中心に展開されるスペシャルコレクションで、コンセプトは“俯瞰した日本を、世界に向けて発信する”。そのネーミングは日本のダイヤルコード「+81」にちなんでいる。
リーボックはスニーカーギークがざわついたこのタイミングで、カナダのカルチャーマガジンとして絶大な人気を誇るスニーズ マガジンや目利きを唸らせるドメスティック・ブランド、ブラックアイパッチなどとのコラボレーション・モデルを立て続けに投入した。
そして10月、ついに登場したのがグラミー賞を受賞したラッパー、カーディ・Bの名を冠したモデルである。
カーディ・Bとのコラボレートモデル。1万2000円/リーボック(リーボック アディダスお客様窓口 0570-033-033)
長年クラシックカテゴリーのマーケティングを担当する滝正芳さんはすっかりクラブ シーに入れあげているという。
「滝=クラシックレザー(ランニングシューズの名作)というほど、僕はクラシックレザーに惚れ込んできた人間です。
死ぬまでにひとつのスニーカーしか履けないといわれたら何を選びますか?というインタビューに対し『クラシックレザー』と即答した人間ですが(笑)、そんな僕が最近はクラブ シーばかり履いています」。
テニスシューズ特有の優れたフィット感とグリップ力は折り紙付きで、「ローテクスニーカーとしては最高峰の履き心地です」と滝さんは言う。
「デザインとしての完成度も高く、ミニマルなアッパーデザイン×サイドオパンケで仕上げるソール・コンストラクションからは時代を超えるポテンシャルを感じます。往時のヨーロッパのスナップをみると、お洒落な人がこぞって履いていました。
ヨーロッパで特に親しまれたモデルなんですが、80年代後半には日本でも品薄に。ニセモノを陳列する税関のガラスケースにクラブ シーが並んでいたと聞いたこともあります」。
 
[問い合わせ]
リーボック アディダスお客様窓口
0570-033-033
竹川 圭=取材・文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。