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井嶋 ムーンストーンのアドバンテージパーカは都会的でカッコ良かったね。平野くんは’85年生まれだから、この頃からファッションに興味を持ち始めたんじゃない?
平野 そうですね。最初に衝撃を受けたアメリカンカルチャーがグランジでした。リアルタイムではないんですが、先輩の影響でカート・コバーンのスタイルに猛烈に憧れました。当時はお金もなくてUSA製のデットストックのジャックパーセルとかは手が出なくて、買えるのはユーズドもの。でも、カートのようなゆるいスタイルでユーズドのスニーカーを履いているのがカッコ良く見えて、履き潰していましたね。
また、映画の影響も大きかったです。『ドッグタウン』や『スタンド・バイ・ミー』を見て、スケーターっぽいスタイルを取り入れたり、そこから遡ってヒッピースタイルに傾倒したり。あと好きだったのが、面白いデザインが多い’70年代のリーバイス。僕らはオリジナルを経験していないので、気分でスタイルをミックスするのが当たり前でした。
井嶋 見方を変えると、今の若者は自由でいいなーって思う。僕や増田くんの時代は、何か共通のものを着ないと仲間に入れなかったでしょ?
増田 つまみ食いは厳禁でした。
井嶋 仲間との連帯を示すユニフォーム的な側面があったよね。そういう流れが、2000年代に入ってから落ち着いたのかな。同時にアメカジも勢いを失ったよね。
増田 そうですね。’00年代の最大のアメカジのトピックは、プレミアムジーンズの流行だと思います。トゥルー レリジョンやセブン フォー オール マンカインドとか……。
アメリカのセレブリティが火つけ役になり、トゥルー レリジョンなど1本2万円以上のプレミアムジーンズが流行。しかし、その流行の火が消えるのも早かった……。
井嶋 あったねー。
増田 セレブカルチャーの象徴みたいな存在でしたね。ローライズでギラッとした雰囲気は今のトレンドとは正反対。モード系では復活の兆しもありますが、一般にはまだ先かな。
井嶋 あと、’00年代のアメリカだと、トム・ブラウンも外せないね。東海岸トラッドの新しい流れを作ったのは間違いない。そのあと出てきたミラーズ オースも良かった。
平野 バンド オブ アウトサイダーズもありましたね。今だとサイズ感が小さすぎますが(笑)。
増田 ’10年代のアメカジを駆け足で振り返ると、若い世代を中心とした’80〜’90年代のアメリカ古着のブーム、’13年頃からアメカジを現代的に解釈したシティボーイの流行がありました。最近はニューバランスのスニーカーが流行中で、アメカジ再燃の予感。
そこで改めて、今オーシャンズ世代がアメカジスタイルをするならどういったものがいいのか? 井嶋さんが実際にスタイリングしてくれました!こちら、必見です。
 
境 陽子=イラスト 増田海治郎、大西陽子、髙村将司、菊地 亮、秦 大輔、増山直樹=文 長谷川茂雄=編集・文


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